(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (1359)
貿易に係る「経常収支」は、(貿易収支)・(サービス収支)・(所得収支)・(経常移転収支)
から構成されます。
これまで日本の企業が過去に多額の海外直接投資を行い、現地の小会社が利益
を上げ、配当が日本に流れ込むことで(経常収支の中)
所得収支が大きく黒字化して
います。
ところが、この
(所得収支の黒字額)でさえ、実は日本企業の現地法人の利益の
”ごく一部の金額に過ぎない!”のです。
なぜ? 日本の企業は海外子会社の利益を、日本国内に還流させないで現地に保留
するか? その理由は
(我国の課税制度にあります。)
日本の法人税は(約40%位)ですが、日本より税金の安い国(世界のほとんどの国)で
稼いだ利益を日本に還流させよとすると、その金額は国内本社の利益と見なされてその
差額が追加で課税されてしまうという問題があったのです。
例えば、法人税=20%の国の海外子会社で稼いだ利益を日本に戻すと、差額の20%
が追加で課税されていました。
そのため、日本企業は海外で稼いだ利益を日本に還流せず、海外現地で再投資するか
あるいは、現地法人の内部保留として積上げておく(遊ばせる)傾向が強かったのです。
ロイターのデータでは、2005年の日本企業現地法人の内部保留金額が12兆円となっ
ていますが、2006年末には17兆2千億円まで膨らみました。
実質的に”海外で稼ぎまくっている日本企業”にとって、現地の利益をどのように日本に
還流させるか?が大きな問題となっていたのです・・・。
海外現地法人の利益を日本に還流させられないため、その分の日本国内の設備投資
や研究開発費が薄くなるわけで、これは非常に勿体無い話です。
海外現地法人の(内部保留残高)は、2005~2006年にかけて5兆円も増加しました。
裏を返せば~(日本での追加課税)の問題が解決されていれば、最大で5兆円の資金
が日本に還流され、仮に全額が日本国内への投資に使われていたとするならば、当時
の我国のGDPを約1%押し上げる計算となります。
次号では、「経済産業省・貿易経済協力局」が昨年8月22日に公表した「改正案」の内容
をアップ予定です。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木