『”世界一危険なチーズ” カース・マルツゥ(Casu Marzu)を知っていますか?』ー②
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してますか? (8869)
『直訳すれば「腐ったチーズ」。うじ虫が蠢き、飛び跳ねる”違法”なチーズを食べるイタリア人がいる!?』ー②
~(前号)からの継続アップ~
◆カース・マルツゥは生だからこそ、その生命力が精力剤になる
ここまで読んで、「なんて野蛮なんだ」と思っただろうか。だけど、少し待ってほしい。ここで僕(マッシ)は、日本の友人である読者のみなさんに、ある事実を突きつけなければならない。
日本は「蜂の子」を食べる食文化があるではないか! 長野県や岐阜などの山間部では、クロスズメバチの幼虫を甘露煮にしたり、炊き込みご飯にして食べる伝統がある。
僕(マッシ)から見れば、あれも十分にショッキングだ。白く柔らかな幼虫をご飯と一緒に口に運ぶその光景は、カース・マルツゥを食べるサルデニャ人と、本質的には何ら変わらないとも思う。「蜂の子は加熱してあるし、美味しい」と日本人は言うだろう。サルデニャ人はこう言い返す。「カース・マルツゥは生だからこそ、その生命力が精力剤になるんだ」と。これは媚薬として信じられているのだ。
食文化とは不思議で、残酷で、面白い。ある土地では「汚物」とされるものが、別の土地では「至高の珍味」として崇められる。カース・マルツゥが生まれた背景には、貧しさの中で決して食べ物を無駄にしないという、羊飼いたちの執念があったはずだ。失敗して虫が湧いてしまったチーズでさえ、貴重なタンパク源として受け入れ、長い時間をかけてその独特の風味を愛するようになった。そこには、現代の衛生観念では計り知れない、生と死、腐敗と成熟が一体となった、原始的な食のエネルギーがある。
EUによって販売が禁止されても、サルデーニャの人々は「伝統食品」として保護を求め、今もこっそり作り続けている。結婚式や特別な祝いの席で、知る人ぞ知る秘密のご馳走として振る舞われるのだ。「法律で禁止されているからこそ、より美味しく感じる」あるサルデニャーの老人は、悪戯っ子のような目でそう語ったという。
世界一腐ったチーズ、カース・マルツゥ。もしサルデーニャ島を旅して、地元の羊飼いに「ちょっと試してみるか?」と誘われたら、みなさんはどうするのだろうか。うじ虫が飛び跳ねるそのスプーン一杯には、数千年の歴史と、人間の胃袋の逞しさが詰まっている。それを口にする勇気があるかどうか。それはみなさんの美食への探求心が、理性を超えられるかどうかの試金石になるかもしれない。
僕? 僕は丁寧にお断りして、普通のペコリ-ノと赤ワインを楽しむことにするよ。だって僕(マッシ)は、臆病で常識的な、ただのイタリア人なのだから。
(記事出典:マッシ(フード&ライフスタイルライター)/ WebLEON 2026/02/08 )
(※)
「マッシ」:
本名はスガイ マッシミリアーノ。1983年、イタリアピエモンテ州生まれ。トリノ大学院日本語学科を卒業し2007年から日本在住。日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。
雑誌の執筆・連載も多数。日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で執筆中。
ロングセラー「サイゼリアの完全攻略マニュアル」(note)は145万PV達成。
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木


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