『ラップもパッケージも不要。イタリアのサラミが「裸」で並び、熟成し続ける理由』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (8867)
『ラップもパッケージも不要。イタリアのサラミが「裸」で並び、熟成を続ける理由』
日本人のみなさんがイタリアのスーパーマーケット、特に精肉店や加工肉のコーナーに足を踏み入れると、まずその「剥き出し」の光景に圧倒されるだろう。
カゴの中に無造作に積み上げられたサラミの数々。それらはプラスチックのトレイに載せられ、ラップで厳重に密閉されているわけではない。紐で括られ、表面には粉を吹いたような白いカビがびっしりと付着している。
日本人からすれば「これは本当に食べられるのか?」と一瞬足が止まってしまうような光景だけど、これこそがイタリアの食文化、「微生物との共生」の証なのだ。
◆白いカビは「美味」の証
サラミの表面を覆う白い粉の正体は、主にペニシリン系の良質なカビである。これは決して腐敗しているわけではない。このカビが肉のタンパク質や脂肪を分解し、あの独特の芳酵な香りと旨みを作り出す。また外側を善玉のカビが覆うことで、有害な雑菌の繁殖を防ぐバリアの役割も果たしている。
イタリアにおいてサラミは「生きている食材」だ。パッケージがない、あるいは簡易的な紙巻だけで置かれているのは、肉が呼吸しを続けるためである。密閉してしまえば湿気がこもり、逆に悪いカビが発生してしまう。そのままの状態で吊るされ、あるいは置かれることで、サラミは少しづつ水分を飛ばし、熟成を深めていく。
◆「好きな時が食べ頃」という贅沢
イタリアのサラミの最も優秀な部分は、消費者が自分の好みに合わせて「熟成のタイミング」を選べる点だ。買ってきたばかりの少し柔らかい状態を楽しむのも良し、自宅の冷暗所に吊るしておき、更に水分を飛ばして硬く、旨みが凝縮した状態になるまで待つのも良し。イタリア人にとってサラミは、工場で完成された工業製品ではなく、食卓で完成させる発酵食品なのである。
◆日本にこのような食文化はあるのか?
翻って日本を見てみると、同様の「カビを利用した熟成肉文化」は存在する。その筆頭が「かつお節(枯節)」だ。かつお節もまた、カビ付けと乾燥を繰り返すことで水分を抜き、旨みを凝縮させる。完成した枯節の表面にはびっしりとカビが生えているが、これを削れば、中から宝石のような深い琥珀色の身が現れる。
しかし、決定的な違いはその「見せ方」と「日常性」にある。日本ではカビを「管理された工場のプロセス」として捉える傾向が強く、消費者の目に触れる店頭にカビの食品が並ぶことは稀だ。一方、イタリアではそれがスーパーの日常的な風景として溶け込んでいる。
◆日本人が受ける衝撃の正体
日本人がこの光景を見て驚く最大の理由は、日本の食品安全基準が「菌を排除すること」に重きを置いているからだろう。高温多湿な気候ゆえに、食中毒への警戒心は極めて高い。その結果、あらゆる食材は過剰なまでにパッケージングされ、賞味期限という厳格な数字によって管理されるようになった。
だけど、イタリアのサラミが教えてくれるのは、数字ではなく「自分の感覚」で食材の状態を判断する知恵である。「少し硬くなってきたから、今夜は薄くスライスしてワインのつまみにしよう」といった、食材との対話。利便性と引き換えに現代人が忘れかけている、食の豊かさの一側面かも知れない。
カビを恐れず、むしろその恩恵を享受するイタリアの」サラミ文化。それは、効率化が進む現代において、「食べ物を理解する」という原点に立ち返らせてくれる、刺激的な光景なのである。
(記事出典:マッシ(フード&ライフスタイルライター) 2026/02/15 )
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木


htmx.process($el));"
hx-trigger="click"
hx-target="#hx-like-count-post-245160787"
hx-vals='{"url":"https:\/\/Gewerbe.exblog.jp\/245160787\/","__csrf_value":"223a2edbcff552529a8fafe96d9b4d59848f2c5b1f4dec5465d9715c274f1ebc9bf693668c4245fb792da45838dbaf6cd7979676b236ed0c45aa6bd7d241b8fa"}'
role="button"
class="xbg-like-btn-icon">