『TOTO、稼ぎ頭は中国から米国に 300億円を投じ米工場に新生産ライン』

　（貿易ともだち）さん、みんな（がんばるチャン！）してるかな？　（８５８２）

『TOTO、稼ぎ頭は中国から米国に　300億円を投じ米工場に新生産ライン』ー（１）

　TOTOは米ジョージア州の製造工場に新棟を建設し、先端の自動化技術を取り入れた生産ラインを今秋に稼働あせる。約300億円を投じ、トイレなど衛生陶器の生産能力を1.5倍に高める。不動産市場での低迷で構造改革を迫られる中国に代わり、米国での背長を狙う。

　田村信也社長は2018～2021年春まで役員とし米国に駐在し、2025年４月に社長へ昇格した。「米国の消費者は可処分所得が高く、１つの家に３つも４つもトイレがある。将来性に期待できる」と語る。

　それでも過去最大の投資であるだけに「社内で（計画案が）二度、蹴られた」と田村氏は明かす。これまで一部の製品を東南アジアなどから輸入していたが、新たな生産ラインの稼働により、顧客の需要に対応しやすくなる。トランプ関税の影響を軽減する意味でも重要な一手となる。

　

　日本では分かれている便器とタンク部分をくっつけたツーピース型が一般的だが、米国では胴体部の便器とタンク部が一体の「ワンピース型」が人気で、新たなラインでも主にこのタイプをつくる。

　米国はバスルームにトイレがあることが多く、空間が日本より広々している。トイレの形状が目に付きやすく、消費者がデザイン性を求める傾向が強い。そのため「アジアではおあまりお目にかからない」というワンピース型が人気となっている。

　今回の新棟建設は、TOTOが米国で製造業として生き残るために避けられない挑戦でもある。製造業優遇の姿勢を示すトランプ政権だが、超えるべきハードルが複数あるからだ。その一つが高い人件費。TOTO USAの新竹誠治製造本部長は「人件費が上昇する米国で製造業としてやっていくためには、生産性の向上は必須の課題だ」と語る。

　新ラインで力を入れるのは自動化だ。従来のワンピース型は胴体とタンクを人の手で接着して作っていたが、新ラインには最新鋭の接着ロボットを導入した。製造プロセスを追うＩＣチップやＱＲコードを製品に取り付けることで、生産技術を高める取り組みもする。重い製品を運ぶＩＨＩ製の無人輸送機も６台、導入した。

　もちろん全てが自動化できるわけではなく、人の作業は残る。加えて「自動化のベースになる職人技が必要」（田村社長）になる。

　そもそもワンピース型は製造難度が高い。乾燥前の柔らかい胴体とタンクの接着工程では、寸法の個体差を踏まえながら最適な位置を見出さなければ形状が崩れる恐れがある。衛生陶器は成形した胴体とタンクを接着した後、乾燥や焼成の工程で大きさが計13％ほど縮む。大きく思いワンピース型はストレスがかかり、ヒビなどができやすい。

　職人の技術を機械に仕込んでこそ、歩留まりが高まる。そのため、当初は新棟ではなく別の土地に新工場を建設する案もあったが、経験値が高い従業員がそろう地域に新棟をつくるという結論に至ったという。

　～以下、（次号）に継続アップ～

（記事出典：日経ビジネスニューヨーク支局　鷲尾龍一　氏）ー（日経ビジネス電子版　2025/09/03）

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