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『経済安全保障の将来的視点』ー➉
 (貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (7125)

『経済安全保障の将来的視点』ー➉
貿易ルールとサプライチェーンから見た政治経済的考察
 ~(前号)からの継続アップ~

4.日本が直面する可能性のある今後の課題
(2)ジェンダーの平等
 世界経済フォーラム(World Economic Fourum)が毎年発行している「The Global Gender Gap Report」の2022年版(World Economic Forum 2022)では、日本のジェンダー・ギャップ(男女格差)は156ヶ国中116位と前年から4つ順位を上げたものの、引き続き先進国では最低という結果となった。
 日本は世界的に見ても男系(父系)社会と言われているが、他の男系(父系)社会の国と比較して見ても、ジェンダーギャップが大きな国として捉えられている。ジェンダーの問題もSDGsの17のゴールの一つであり、世界的に注目が高まっているテーマである。
 分野別に見て、女性の経済的参加・機会(女性の就業率や企業の女性エグゼクティブ比率など)ではさらに順位を落として121位の日本は、この分野において中国に大きく引き離されている。
 今後、「ジェンダーの問題に対処していない企業の製品は購入しない」ということにならないよう、対応が急務な分野である。

(3)地球環境対策
 製品の生産にあたり、いかにエネルギー効率を高め、二酸化炭素の排出を削減するかということについては、日本企業は競争力を有していると考えられてきた。しかし、今後重要となるのは、生産にあたっての地球環境対策にとどまらない。例えば、世界各国がそう遠くない将来にガソリン車の生産・流通を禁止し、電気自動車が主流になると、モーターの性能そのものだけでなく、充電のための規格の標準化や、ガソリンスタンドに代わって必要となる充電のためのパワーステーション設置にあたっての規格の標準化などが、自動車産業の競争力を規定するものとなってくる。

 国と国が地続きである欧州と比べて、島国である日本は、こうした分野の規格の標準化のための国際的な企業連携に出遅れており、他国・他企業の規格を受け入れざるを得ない状況に立たされる。また、島国の日本は、他国・他市場における政策や制度の変更に対してあまり敏感でない。
 欧州は、前述の通り経済発展水準の異なる国々がEUという統一市場の中で制度の国際的調和を進めようとしており、EU並びにEC委員会が制度の調和と規格の国際標準化に積極的で、次々と環境制度に関するEU指令を打出してきている。

 中でも最近注目すべきは、2024年までにApple社のIphoneのライトニング端子の流通を禁止する方向で議論がすすめられているということである。これは複数の充電用端子が存在することで、地球環境保全に悪影響が生じる状況を改善するという目的で、全世界共通のUSB Type-C端子に統一するというものである。もちろん、Appleとしては、Mac-Bookなど既にType-C端子を用いて充電する機器を導入しており、技術的に対応困難な問題ではないだろう。しかし、欧州でこうした方針が導入されれば、Appleは欧州向け製品のみをType-Cに切り替えるのではなく、全世界向けに仕様を変更するはずである。
 この時、スマートフォン市場におけるiPhoneのシェアが2022年8月時点で米国市場よりも高い64.8%に達している日本では、iPAhoneの販売を行う携帯電話キャリアや電気店だけでなく、iPhoneのアクセサリ類の流通・販売を行う中小企業、使用できなくなったライトニング端子の在庫を抱え、製品の調達先を変更するなど大きな負担を被ることになる。
 このような事例はスマートフォンだけでなく、PCや自動車などでも将来的に発生し得るものであるし、また最終財のみならず部品に関しても規制対象となると、より影響は大きくなるであろう。

 さらに注目すべきは、温暖化防止のためのパリ協定において、各国が削減目標を設定している温暖化ガスの削減については、EUが導入する輸入者に対する炭素税賦課の影響を冷静に分析する必要がある。また、現在は生産国における排出が削減の対象であるが、今後の議論次第では、途上国が主張する、財の使用者(使用国)側が温暖化ガス排出の責任を引き受ける形となるといった可能性も排除できない。
 日本企業が国際的な取引きを行い、消費者が安価で多様な製品を嗜好し続ける限り、海外からの輸入を続けることは避けて通れず、輸入の拡大が地球温暖化対策上のリスクになる可能性がある。

 あらゆる産業が、世界の主要市場における政策動向に敏感にアンテナを張り巡らせ、そして新たな国際ルール新たな規格の標準化に積極的に関与していかなければ、地球環境対策が広義の経済安全保障につながる可能性は決して低くないのである。

(記事出典:小田正規 氏(日本大学国際関係学部准教授) 2022/10)

 blog up by Gewerbe  「貿易ともだち」 K・佐々木
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by Gewerbe | 2023-05-24 02:51 | Trackback | Comments(0)