『世界に広がる需要 それでも米の輸出が増えないワケー③』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (5658)
『世界に広がる需要 それでも米(コメ)の輸出が増えないワケー③』
~(前号)からの継続アップ~
◆制度は拡大する需要獲得をも陥む
国による新市場開拓用米の認可は、輸出を拡大しようとする際にも足かせとなっている。冒頭に海外から新規に日本米の引合いが来ている生産者組織の事例を紹介したが、この生産者組織は新規の引合いに対して応じられない状況になっている。なぜなら、今年産米の輸出用米を新市場開拓用米として追加申請することができないからである。
新規の輸出に応じようとするなら、一般米を手当しなければならず、そうすると助成金が得られない。少なくとも1俵2000円のコストアップになる。「少なくとも」と記したのは、輸出用米については県や市町村段階で独自に助成している所もあり、1俵当たり2000~4000円、中には6500円もの助成金を支給するところさえある。こうした助成措置を受けられるか否かで日本米の輸出原価が大幅に違って来るので海外で市場開拓する際には必要不可欠な助成金になっている。
◆求められる「輸出用専用市場」の整備
こうした足かせを取り除き自由に輸出に取組み、かつ国や自治体の支援を受けられるようにするための一つのプランとして「輸出用米専用の取引市場」を開設することが望まれる。
具体的には、輸出用米を販売したい農協や集荷業者、生産者、輸出用米を買って海外に輸出したい卸や商社、場合によっては海外バイヤーが参加できる取引市場を作って、そこで現物だけでなく、先渡しで取引できるようにする。今年の例では2023年産新米が出回る10月から来年10月まで1年先まで取引ができるようにする。
市場はオープンにして売手は自分が売りたいコメをロットと産地銘柄等級・品位等を明示して受渡可能な時期を示す。有機米等こだわったコメを作っている生産者らも取引に参加できるようにする。
このように売手:買手双方が市場に自らの売り:買いを発注することによって市場運営社が成約に結び付ける=他の産業では当たり前の市場に見えるがだろうが、コメ産業ではできていない。
この市場で成約した輸出用米を新市場開拓米として農水省が事後認可すれば、助成措置も受けられる。こうすることによって生産者にとって煩雑な輸出用米の認可の手続きが省略でき、買手にとっても輸出用米の過不足を簡単に解消できるようになる。
また、この市場でA生産者の輸出用米をB卸が購入を決め成約した後、何らかの事情で輸出できなくなった場合、その制約したものをCという卸に転売できるようにすれば市場の流動性が増す。転売については農水省が輸出制度の要領を柔軟に運用することで解決できる。
当然、国内の需給状況等によってコメの価格は変動するが、その際のリスクヘッジ手段として先物市場を活用できるようにする。堂島商品取引所は農水省の判断でコメの本上場が非認可になってしまったが、輸出用米については来年11月までえ新潟コシヒカリが売買できるようになっており、これを新潟コシヒカリに限らず日本で生産されるどのような産地銘柄であっても売買でえきるように商品設計を変えればよい。
こうした輸出用米の「現物+先渡し市場」と「先物消算市場」の2つがあれば誰でも市場で輸出用米の売り買いが可能になり、飛躍的に日本米の輸出量が増加することになるだろう。そうすれば、今まさに起きている日本米輸出の追い風にのることができる。
(記事出典:Wedge(ウエッジ) 熊野孝文 氏 2022/08/04)
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