『2020年の世界経済が抱える”4つの時限爆弾”-⑤』
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『2020年の世界経済が抱える”4つの時限爆弾”』
3)-《中国経済・保護政策を全産業に》-
中国経済の未来については、さらに大きな懸念がある。中国は今後も世界経済との深い結び付きを維持するのか、それとも他地域との経済的相互依存関係を解消する試みを強化するのか?
「唯一の、そして大いなる懸念は米中が離れることだ」というのは、コンサルティング会社ユーラシア・グループのクリフ・カプチャン会長だ。「両国がたもとを分かつことは、すくなくとも技術分野では避けられない。さらにそれがエスカレートすると、関税を武器にすることが常態化し、他の国を対立に巻き込み、経済成長の本格的な障害となる恐れが出てくる」
それは単なるトランプ効果の問題ではない。カプチャン氏の言う米中関係の「硬直化」は、現在、米政治における既定路線となり、議員や民主党の大統領候補者はみな中国に対してより厳しい姿勢を取ろうとしている。「それは世界経済と世界の安定に対する真の脅威だ」と彼は言う。
中国は貿易相手国から部品などを調達することを止めて、代わりに国内で主要産業のサプライチェーンを構築しようとしている。その先頭を走るのが華為技術(ファーウェイ・テクノロジー)だ。
しかも中国政府は、こうした保護政策を全産業に拡げようとしている。そうなると、世界経済の見取り図は大きく変わるだろう。「指導者が相互依存を根底から見直すことが中国経済の未来にとって何を意味するのか。それが大きな疑問だ」と、ハーバード大学のゲワーツ氏は言う。
このような動きは大規模な国家資本主義を伴い、主要産業における国内サプライヤーの育成やグローバルなサプライチェーンの解体、産業政策の強化に繋がる。
またアメリカ製ミサイル配備の件で、韓国を牽制したり、ツイッターで香港デモを支持したNBAを脅すなど、経済的な圧迫による他国への攻撃も増えるだろう。そしてアメリカの金融政策からの脱却を図るこれまでの中国の取組みも活性化する。
「トップダウンで動く国が、商品からテクノロジー(潜在的には金融)に至る複数の領域で自立性を高める必要があると判断した場合、それは2020年に非常に大きな変化をもたらすだろう」とゲワーツ氏は言う。「そうなったら、以前からの懸念が現実のものになる」。
(記事抜粋:Newsweek 2020/01/07)
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木