(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4371)
『コンビニ外国人』-新潮新書・芹沢健介 著 2018/06
【”国際貧困ビジネス”としての日本語学校】
~(前号よりの継続記述)~
なぜこんなに増えているかといえば、留学生ビジネスは「儲かる」からだ。そこには搾取の構造が出来上がっている。不動産会社や健康食品会社といった異業種からの参入も相次いでおり、授業のレベルや学習環境も決していいとは言えない。中には生徒100人に対し、講師がたった1人という日本語学校もある。
教壇に立つ日本語教師も搾取される側だ。彼らも疲弊している。取材に応じてくれた日本語教師も「月収は20万円いくかいかないか」だと嘆いていた。
もちろん、全ての日本語学校がブラック(悪徳)ではないが、一部の学校では、企業に留学生を斡旋し、週に28時間という枠を超えて働かせていた事例もある。外国人留学生を相手に”国際貧困ビジネス”とも言うべき商売をしている学校があるのだ。
その闇は深く、ルートは海外の日本語学校や送出し機関、ブローカーなどとも複雑に繋がっている。
【働き手の奪い合いが始まる】
世界中には「自分の国を出て海外で勉強したい」「働きたい」と考えている若者が大勢いる。どこかに僕/わたしが行ける国はないかーー。調べてみると日本政府が「留学生30万人計画」を推していて、アルバイトをしながら勉強ができるらしい。留学資金は少し足りないが,街の日本語学校やブローカーに頼めばなんとかしてくれるようだ・・。
彼らの”ジャパニーズ・ドリーム”とは平均月収数万円という母国日常から抜け出して、今より少しでもいい生活をすることだ。
しかし、いざ日本に来てみれば、働けるのは週28時間まで。規則を破って働けば強制送還の憂き目にあう。実際、借金を背負ってまま無念のうちに帰国する元・留学生も少なくない。
一方で、留学生を日本に送り出すビジネスはもうピークを過ぎたという見方があるのも事実だ。
現地では、「日本はオリンピックまでだ」「その後は送り先をオーストラリアや韓国に切り替える」という声を聞く。
今後、日本は加速度的に人口減少して行く。しかし、労働人口が減るのは日本だけではない。現在、日本に一番多くの労働力を送り出している中国でさえ、労働人口のピークはすでに2011年に迎えている。
今後は労働力不足に陥った国々で、働き手の奪い合いが始まるはずだ。そして、国境を跨いだ労働力の移動はますます激しく、いよいよ複雑になっていくだろう。
・そんな環境で、すでに”老体”となっている日本が勝ち残っていけるのだろうか・・・。
・単純労働者への門戸を開放しても、働く環境やバックアップが整っていない日本に魅力を感じる外国人がどれだけいるのだろうか・・・。
・近い将来、コンビニのレジは自動化されるだろうが、はたしてその時、留学先に日本を選んでくれる外国人がどれほどいるのだろうか・・・。
(文出典:芹沢健介 氏ー「コンビニ外国人」)
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木