『売手に前払いする輸入貨物の材料(野菜)の栽培費用』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4716)
この事例も解釈に混乱を起こしやすい内容ですね。輸入貨物は加工食品であり、前払いする費用は材料である野菜です。輸入貨物の材料への仲介料・”買付手数料”の例などと混乱させた解釈をしないことが必要です。この前払いの「栽培費用」が、買手による売手費用の間接的支払にあたることの事例です。
『10.売手に前払いする輸入貨物の材料(野菜)の栽培費用』
【照会要旨】
当社(買手)は、売手から食料品を購入します。
輸入貨物は、無農薬で栽培された野菜のみを材料として生産したものであり、当社は、売手との売買契約に基づき、売手に対してその野菜に係る栽培費用を前払いしています。
なお、売手から当社宛に送付される輸入貨物の仕入書価格に、その栽培費用は含まれていません。
輸入貨物の課税価格を計算するにあたって、当社が売手に前払いする野菜の栽培費用は、現実支払価格に含まれますか?
【回答要旨】
上記の取引において、貴社が売手に支払う栽培費用は、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために支払われるものですので、現実支払価格に含まれます。
(理 由)
「現実支払価格」とは、買手が売手に対して又は売手のために、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために現実に支払った又は支払うべき総額をいい、売手の債務の弁済等の間接的な支払の額を含みます。
上記の取引において、貴社(買手)が売手に支払う野菜の栽培費用は、輸入貨物の材料として使用される野菜の費用であり、輸入貨物に係る貴社と売手との売買契約に基づき、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために支払われるものですので、その輸入貨物の現実支払価格の一部を構成します。
《参 考》
輸入貨物の仕入書が輸入取引に係る価格等の条件を正当に表示するものである場合には、その仕入書価格に基づいて現実支払価格を認定することとなりますが、輸入貨物に係る仕入書価格の支払に加えて、その輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために、買手により売手に対して又は売手のために行われる何らかの支払がある場合の現実支払価格は、仕入書価格にその支払の額を加えた額となります。
【関係法令通達】
・関税定率法第4条第1項
・関税定率法施行令第1条の4
・関税定率法基本通達4-2⑴、4-2の2⑴
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