『第52回通関士試験・通関実務科目「輸入申告書作成問題」』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4670)
前々号において、「通関実務科目」で受験者の”読解力と計算能力”を問う出題記述となっており、とりわけて近年の試験においては、特定貨物のみに「按分(あんぶん)」を発生させる等、個々の費用の見極めと冷静な判断による適正計算を必要とするとする穿った見方をすれば、”受験者の混乱を狙う意図的な問題構成”が見られるという内容をアップしています。
この意味で、輸入申告書の作成問題でも、下記の記述において同様な出題構成が行われていました。
『第52回通関士試験・通関実務科目「第2問 輸入申告書の作成問題」』
【設問】:記―7
「別紙Ⅰの仕入書に記載された「Unisex Pajyamas set」の生産に関連して、輸入者(買手)は、輸出者(売手)に対し、ボタン5,100個(生産ロス100個を見込んだ数値)を無償で提供している。当該ボタンの無償提供に要した費用は、本邦から輸出者(売手)までの運賃を含め、306,000円である」。
【仕入書(Invoice)の該当品目】
Unisex Pajayamas set(top and down),Msize(textilefabric(not knitted),of wool 40%,polyester30%,coated and nylon30%)
(Quantity):1,000 (Unit Price-per unit):US$7.00 (CIF US$7,000.00)
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一部の受験者においては、無償供与した「5,100個分の306,000円」を製品数量である「1,000着」で”按分計算”してしまった受験者が発生しています。
この出題の記)7が、”意図的な出題構成”と感じるのは、「一着当たり、何個のボタンを使用する」との記載が一切無いことです。
「生産ロスを見込んだ数値」の記載から、全てのボタンは”1,000着のパジャマに使用される数”の判読が要求されています・・。
結果的には、パジャマですから、「一着当たり5個のボタンを使用」しているとなり、「20着分(5%)の予備品を含む」となります。
うっかりと、”按分計算をしてしまった受験者を笑う”ことは簡単ですが、本試験の迫られた試験時間での異常な環境下においては、当然に起こり得るミスです。
「パジャマには通常として5個程度のボタンが使用される」とする受験者の常識を問う記述と、それらを惑わされることなく迅速・適正に判読し処理するスキルを持つ受験者を選別する出題構成が成されていると考えるざるをえません。
”これが、近年の申告書作成問題の怖さ”です・・。
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木