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『特恵関税制度の”完全卒業”に伴う関税率の見直しー①』
今年4月から「中国、タイ、メキシコ、マレーシア、ブラジル」の5カ国が特恵受益国からの”完全卒業”=非受益国となることから、従来、特恵無税で輸入されていた品目が、協定税率適用の”有税”へと移行する。協定税率”有税”扱いとなることで、我が国メーカーの国際競争力への影響が大きいと思える品目については、「基本税率の見直し」が図られた。
【ジスプロシウム鉄合金】
対象となる6品目のうち1品目めは、「ジスプロシウム鉄合金」である。これは希土類鉱石、すなわちレア・アースを電気分解して採取されるもので、希土類磁石の原料となり、最終的にはハイブリッド自動車や電気自動車のモーターなどに使用されるものになる。
「ネオジム磁石」
ジスプロシウム鉄合金は輸入額の9割以上を中国に依存している一方で、国内生産者はいない。すなわち、国内生産者の保護を勘案する必要性のない状況である。
したがって、このまま何も措置を講じないと、今年の4月から特恵関税率の無税が”完全卒業”無税が適用除外となって、ジスプロシウム鉄合金を輸入する際には協定税率の2.6%が適用されることになるが、自動車用モーター等を製造する国内産業の国際競争力維持の観点から、基本税率を無税化する改正が実施された。
2品目の、「水酸化アルミニウム」についても同様の構造となっている。こちらは自動車部品のほか、アルミニウムの精錬やファインセラミックスの添加剤などに用いられるものだが、これも国内生産メーカーは存在していない。そのため、基本税率は従来3.9%となっていたが、⇒無税にする改正が行われた。
(記事抜粋:「平成30年度関税改正について」・財務省関税局関税企画調整室)
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