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【日本の象牙市場】
”象牙(アイボリー)”は、世界各国において、歴史的に家具、楽器、銃器等の装飾品や彫刻品として珍重されている。日本においても、かつては根付、印籠、櫛、簪等の日常的な生活用品の他、和楽器等、近代では印章、アクセサリー等に利用されている。
日本では、過去数十年の間に象牙の需要は縮小しているが、1980年代には世界最大の象牙市場を有していた。輸入量がピークに達した1983年及び1984年の2年間で約950トンの未加工象牙を輸入している。これは、アフリカゾウおよそ5万頭に相当する量であり、ワシントン条約による取引禁止措置の導入を見込んだ投機と在庫確保のためとの指摘がなされている。
その後、1989年のアフリカゾウの付属書Ⅰへの移行に伴う国際取引の禁止やバブル崩壊による長期的な不況の影響もあり、日本の象牙市場は縮小している。NGOの調査によると、現在の市場規模は1980年代の10%程度と推定され、そのうち象牙の印鑑が生産量の約80%を占め、伝統楽器部品の製造が約10%と続いている。また、象牙を取り扱う事業者の連合団体への加盟者数も、1989年の76社から2014年の37社へと半滅している。
現在、国内市場で取引されている象牙は、ワシントン条約に基付き国際的な商業取引の禁止前に輸入されたものと1999年と2009年に同条約に基づいて輸入されたもの(いわゆる”ワンオフトレード”(今回限り輸出入許可))の在庫により供給されている。
One-off tradeにより、1999年と2009年にそれぞれ約50トンと約100トンが輸出された。その際、日本はそれぞれ約50トンと約40トンを輸入している。
これは、日本の象牙市場の管理体制が、同条約の求める取引管理の条件を実施するのに十分であることから承認されたものである。このとき生息国が得た収入は、アフリカゾウの保護管理や地域社会の発展のために利用された。
(記事出所:「立法と調査」2017/03 No.391)
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