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『日本人の勝算』-デービット・アトキンソン氏
-大改革時代の生存戦略ー(人口減少)×(高齢化)×(資本主義)
【人口減少時代には「松下流」は通用しない】
しかし、この松下幸之助氏の素晴らしい経営哲学も、どの時代でも通用する普遍的なものではないことを、今の時代を生きる人は理解しておくべきです。
まったく状況が変わってしまった今の時代に、人口が激増する時代にこそふさわしい哲学に基づいた戦略を取り続ければどうなるのでしょうか。
消費者が減っているので、パイが縮小しています。いいモノをたくさん作って、安く提供しても、市場は飽和状態なので売れません。当然、規模の経済も実現できません。売上は価格を下げた分だけ減ります。競合が同じ戦略で戦いを挑んでくれば、共倒れになってしまいます。
各社が「Last-man standing」を目指して競争し、結果としてデフレ・スパイラル(負の連鎖)を起します。
少し前までの日本では、小さな企業がたくさんあっても、主要銀行だけで21行もあっても、自動車メーカーが何社あっても、半導体メーカーが海外より圧倒的に多く規模の経済が効きづらくても、なんとか成立しているように見えていました。それもこれも、もともと人口が多く、さらにその数が増えていたおかげだったのです。
しかし、このことに気が付いてた人はほとんどいませんでした。それどころか、他の先進国ではあり得ない状況が日本だけで成り立っていたため、日本経済は「西洋資本主義」ではなく、より先進的であるという錯覚までもが生まれていました。
バブル景気の終わりごろになると、「日経平均(株価)は無限に広がる。上がったものは下がらない」と信じられるようにまでなりました。日本資本主義、日本的経営などといって、計算の世界は日本経済には関係ない、日本経済を語るうえで普通の経済学は通用しないといまだに信じているひとが、特に年配者世代には少なからず存在するように感じます。
(記事出所):デービット・アトキンソン氏 「日本人の勝算」ー週刊東洋経済ー)
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木