(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4555)
元経済企画庁長官で作家の堺屋太一氏(本名:池口小太郎)が2月8日、83歳で亡くなりました。もう20年以上も前でしょうか、海外出張中のドイツ・デュセルドルフ市で彼の講演があり参加する機会に恵まれたのを懐かしく想います。また、2001年発行の彼の著書「時代が変わった」は、今でも繰り返しの愛読書です。
その彼が死の直前まで、『新元号30年』という本の執筆の意欲を持っていたらしい。彼は、新元号になる2020年以降の日本に大きな不安を感じていたからにほかならない。こう話した・・
「例えば今、日本が直面している最大の問題は少子化です。これを真剣に議論する人がいない。地方から若者を吸い上げ、東京一極集中かだから、少子化が見えない。今、私は渋谷区神宮前に住んでいるけど、男女のペアで歩いているのは外国人ばかり。恋もしなくなった。恋の芽生えない東京に人が集まるのだから、地方はよほど面白くないんだろうと思う」。
堺屋氏は1997年に朝日新聞紙上で始めた連載の近未来小説『平成三十年』(朝日文庫)で少子化を予測していた。この作品は、人口が減少し、東京一極集中で地方は衰退、国の借金は増え続けるというストーリーだ。まさに、現実も小説のような世界が広がっている。単行本化した際のサブタイトルは「何もしなかった日本」。このサブタイトルについて堺屋氏はこう答えた。
「「現実は)『何もしなかった日本』と比べても、もっと何もしなかった日本です。」
実は『平成三十年』には続編『団塊の後』がある。舞台は団塊の世代がリタイアした後の2026年と記事中の若い首相の徳永好伸が掲げる「身の丈の国」で、外国と富を競わず、日本自身の幸せを追求する若い首相をモデルとする小説です。
「一言でいえば「低欲社会」を解消することです。要するに面白い社会を作る。
・「第1の日本」:明治維新から1945年の敗戦で終わりました。
・「第2の日本」:戦後は(安全と平等と効率)でした。しかし、平等と安全が過ぎると、冒険心が生まれない低欲社会になり、世の中から意外性と多様性が消えてしまいます。日本の官僚は2年程度でポストが変わる仕組みなので長期的な視野を持って問題を考えられない。政治家がビジョンを持って「第3の日本」を語っていく必要がある」。
(記事参考:AERA編集部・澤田晃宏 氏 2019/02/16)
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木