『日本の実情に適したAW(アニマルウェルフェア)基準に!』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4998)
『日本養鶏協会と国際養鶏協議会 吉川農水大臣へ要望書』
世界の動物衛生の向上を目指すとする国際機関の国際獣疫事務局(OIE=Office International Epizootic)・陸生動物コードに追加する採卵鶏のアニマルウェルフェア(AW、日本語定義=快適性に配慮した家畜の飼育管理)基準をの策定を進めているが、昨年11月22日にコード委員会の二次案を加盟国に示し意見を求めた。
こうした国際的な動きに対して、「日本養鶏協会」と「国際養鶏協議会」は、国内の採卵養鶏の飼育方法にも大きな影響を与えかねないとして、合同で「AW対策協議会」を立ち上げを決めるとともに、11月12日には吉川農林水産大臣に、適切な対応を求める要望書を提出した。
【要望書趣旨解説】
『我が国の養鶏産業が成り立ち、安全・良質な卵が安定的に提供できる「基準」を』
(解説)
養鶏産業は、家畜としての採卵鶏の長年にわたる改良の恩恵を受け、良質なたんぱく質に富んだ安価な卵を提供することで、国民の健康増進に貢献し、地域の雇用も創出して発展してきた。特に採卵鶏の育種改良は、卵1キロ当たりの飼料コストが低く、優れた卵質を持つ販売可能な卵を多産することを目標に、試行錯誤を繰り返すことで進んできたもので、今後も着実に改良が進んでいくとみられる。
現在主流となているケージ飼養の小さなコロニーは、鶏群の中での順位付けで、強い鶏が弱い鶏をつつく「尻つつき」を減少させ、どの鶏にも飼料や水が供給されるようになっている。また、鶏を糞や土から分離したことによって病気の回避と衛生的な卵の生産ができるなど、アニマルウェルフェア(AW)の面でも問題をクリアしながら発展してきた。
このような鶏の品種改良と、環境を清潔かつ快適にコントロールした鶏舎、自動化、省力化が進んだ養鶏システムの導入によって、生産コストを抑制し、安全で衛生的な卵を安定供給できるようになったといえる。
欧州を中心としたAWの動きは、国や地域によって宗教・文化・気候風土が異なることから、必ずしも世界共通のものとはなっていない。
加えて、世界の動物愛護団体の中には、菜食主義者(ベジタリアン)や、あらゆる動物性食品を拒否する完全菜食主義者(ヴィ―ガン)、さらには畜産そのものを認めない人がいて、それを他者に強要したり、中には暴力的な行動に及ぶこともあり、状況を一層複雑にしている。
検討されているOIE基準案は、基本的には飼育方式を規定するものではなく鶏の状態に注目した指標の「アウトカムベース」で策定が進められているといわれているが、日本の特に高温多湿な気候風土に対応し、消費者が求める安全・安価・良質な卵が安定的に供給できるとともに、OIE加盟182カ国・地域を含む多くの国で人々の食や暮らしを支える養鶏産業が成り立つAW基準ができることを期待したい。
(記事参考:カルスポリン・アサヒカルピスウエルネス(株)飼料事業本部 2018/12/01)
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木