(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4986)
『年配の人が、(昔飲んだ煎茶が美味しかった)という本当の理由』
-窒素肥料を使うようになったことで蓄積されるアミノ酸ー
日本全国の酒や焼酎の蔵元が、スパークリングワイン(シャンパン)風の「泡酒」や「和風ジン」の開発・販売を加速させているように、国際的に通用する味覚への商品化への変化は”お茶”に限らず、グローバル化の表れかも知れません・・。しかし、他方で”サステナブル(持続可能社会)”に対する消費者意識への認識も極めて重要です。
高度経済成長期には国内の需要が急激に増加し、お茶の生産を増やすために国策として窒素肥料が大量に使われるようになりました。そうなると当然にお茶の品質も変化します。低肥料で作られたお茶特有のコクのある後味と透通るような香りから、あっさり味、アミノ酸特有のまったり感のあるお茶へと変化しました。
お茶・・に含まれる旨味であるテアニンが発見されたのは1950年で、それまでテアニンという物質は誰も知らなかったわけです。なお、アミノ酸の味は旨味と呼ばれますが、旨味=美味しさではありません。グルタミン酸ナトリウム(味の素)に代表されるアミノ酸特有の味自体を旨味と呼びます。
当然、昔のお茶の味を知る人には、現在のアミノ酸リッチなお茶では満足できません。窒素肥料を大量施肥して栽培された旨味の強いお茶は1つの個性だとは思います。ただし、留意しなければならないのは、その旨味は窒素肥料の大量施肥によってもたらされるものであり、消費者の化学肥料による環境汚染に対する意識を考慮することが大切です。
【海外では高級茶栽培に窒素肥料は使われない】
インド、中国、台湾で超高品質のお茶を作る農家や生産企業は、決して窒素肥料を入れません。一方、低品質~中位の品質を生産する場合、日本と同じく大量の窒素肥料が用いられます。龍井茶、君山銀針、鳳凰単巌烏龍、鉄観音、梨山茶等、高品質のお茶になると窒素肥料を与えずに栽培され、輸出用のような低いグレードは肥料が大量に用いられます。
ようするに、高級なお茶は窒素肥料で成長を加速するのではなく、自然に近い状態でゆっくりと栽培することが重要視されています。
(記事抜粋:北城 彰(AKIRA HOJO)氏・HOJO)
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