(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4954)
当初は12カ国が合意・署名したが、2017年1月に米国が離脱。先月30日に『TPP11』として発効した。TPPは6カ国以上が国内手続きを終えて60日後に発効する仕組み。メキシコ、日本、シンガポール、ニュージランド、カナダに続き、6カ国目となるオーストラリアが国内手続きを終えて発効した。また、EUを離脱する英国のほか、タイやコロンビア、インドネシア、フィリピン、台湾、韓国などが加盟に関心を示している。
『米国の復帰、見通せず』
日本政府は、年明けにも始まる米国との通商交渉を通じ、TPPへの米国復帰に望みをつないでいる。ただ、トランプ米政権は2国間交渉で自国に都合のよい通商協定を結ぶ戦略に自信を深めており、早期復帰の見込みは極めて低い状況だ。
日本は対米交渉で物品関税を先行させ、米国が重視するサービス分野や投資ルールなどの交渉を後回しにする作戦だ。「米国が(TPPに復帰した方が早い)と考え直すかも知れない」(閣僚経験者)と期待をかける。日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する「東アジア包括的経済連携(RCEP)交渉の実質妥結も急ぐ。
アジア太平洋地域で自由貿易圏作りが進む中、米農業界ではオーストラリア産などとの関税格差が広がることに警戒感が強い。日本は、米国内で早期決着を求める声が高まれば、交渉を有利に進めやすくなると見込む。
一方、トランプ大統領は昨年9月末、メキシコやカナダ国境との北米自由貿易協定(NAFTA)改定交渉に合意。米国が無関税で輸入する自動車を制限する「数量制限」や通貨安誘導をけん制する「為替条項」などを盛り込むことに成功した。
米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、新NAFTAを「今後の通商協定のひな型になる」と述べており、日本などとの交渉でも同様の要求を突きつける構え。自由貿易を掲げるTPPの狙いからは、ますます遠ざかっている。
昨年9月の日米共同声明は、日本の農林水産物の関税引き下げをTPP水準までとするところを米穀が「尊重する」と明記した。だが、パーデュー米農務長官は「目標はTPP水準以上」と発言。トランプ氏も10月27日、米農業団体の集会で、日本が市場を開放しなければ「日本に20%の関税をかける」と述べた。
日本が「TPP以上」の譲歩をすれば、米国にとってTPP復帰のメリットは完全に消えてしまいかねない。日米通商交渉で米国復帰の可能性を残せるかどうかの焦点になる。
(記事出所:毎日新聞・ワシントン 中井正裕 氏 2018/11/01)
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木