(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4282)
過去の通関士試験・実務科目の「輸入申告書作成問題」において、”口銭”とか”歩留まり”という一般的ではない用語が組み込まれた問題が出題され、その意味が理解できずに課税価格の決定計算を進めることができず、パニックに陥ったという実例があります。
「口銭」:(こうせん)、(くちぜに) (仲介料)・(リベート)
「歩留まり」:(ぶどまり) 原価比率・原材料→製品での有効使用割合=原材料÷製品の割合。
確かに、一般社会において、「口銭」や「歩留まり」は、あまり一般的に用いられる言葉ではないかもしれません。しかしながら、「通関士」は、国際商務、国際物流業界という「国際経済」に関わる業務の専門家とする前提があるわけですから、「これらの”経済用語”が出題に組込まれていて判読できず、本試験中にパニックに陥った」・「理不尽である」とする意見は、専門資格国家試験である「通関士試験」においては、同情を得られない意見と思われます。試験実施者が、受験生の「一部の経済専門用語・業界用語の知識度」を試験に盛り込んで出題してくるのは、試験の目的の一つの側面とも思えます。
当初に使用されたのは「口銭」という語句が組み込まれた輸入申告書の作成問題でした。案外と、問題作成者は、「受験者の解読不能=パニックを狙う意図的な使用」ではなく、商社等で一般的に使用されている言葉を用いて自然体で問題作成を行ったのではないかと感じています。
しかし、試験問題作成者の予想に反して、受験者の多くが「口銭」の意味が理解できず、得点を得ることができなかった。これは、試験実施者として、受験者の基礎的な国際経済・国際物流の認識度を測る観点からの大きな反省にもなったし、受験者の合否選別に使える大きな要素の一つになり得るとの新たな気付きではなかったのでしょうか?
それが、次の「歩留まり」という言葉を組み込んだ輸入作成問題につながった。という感じがしてなりません。
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一方、上記の語句が使用された年度の合格者の全員が、「口銭」や「歩留まり」といった経済用語を理解していて、たんたんと解答作業を進めたとも思えません。正解を出した合格者の多くが、その語句は知らなかったが、問題全体の判読=”読解”によって、語句の意味を理解したと思えます。
「参考書に載っていない!」、「こんな一般的でない言葉はわからない・・」とする”受験勉強的な学習態度”を改めることです。
「限られた本試験時間内での解答作業」という絶対条件はありますが、それだけに、「パニックに陥らず、迅速・適正な判読を進める”読解力”」を養いながらの受験対策が重要です。
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今年あたり、「金融用語」などから専門的な語句が組み込まれた輸入試験問題が出題されてくる可能性が危ぶまれてなりません・・。
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木