(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4257)
『加算税関連の改正』 関税法では、輸入に際し貨物の関税評価額を適正に申告せず、その後税関により関税評価が過少であったと指摘を受けた輸入者に対しては、過少であった関税の10%が
過少申告加算税として課されます。
しかし、税関の事後調査にあたり、調査の行われる日までに輸入者が過少申告内容を自主的に開示した場合、事後調査・事前通知を受けた後であっても=(税関による増額更正を予知した場合ではない修正申)過少申告加算税を
課さないこととされてきました。
合わせて、従来は「申告から許可」までの間、
”是正による修正申告”により、税関からの指摘による増差税額の増額を申告書の税額を訂正が認められていました。
この取扱いの結果、調査の直前に過少申告の内容を開示して加算税を逃れる輸入者が増加したため、その対策として、平成28年度税制改正において、この調査の事前通知が行われた後に自主的に開示を行う輸入者に対しても、
5%の加算税を課すことになります。この改正は、通関ごとにより適正な申告を行うという輸入者のコンプライアンス意識を高める目的とともに、調査の事前通知後であっても自主的に開示する輸入者には、依然として
低い加算税(5%)を課すというインセンティブを与えるものです。
(平成28年度の関税法改正により導入、平成29年1月1日から施行~)
☆
では、以下のような事例したとした場合に「過少申告加算税」は
、(10%)・(5%)・(0%)のいずれが課税されるのでしょうか?
(事例)
① 輸入者はCIF契約で物品を輸入し、引取りを急ぐため、相応
担保の提供の上で
「輸入許可前申請」を通関業者を通じて税関に行った。
② 税関は「輸入許可前引取り申請」の申請書類である「インボイス」に”保険料率変更”の記載があることを見つけ、通関業者を通じて、輸入者にその事実確認を求めた。
③ 税関からの問い合わせにより、輸入者は通関業者を通じて「保険料率の変更あったこと、また、その事実を輸入許可前引取り申請の代理を頼んだ通関業者に連絡してなかったことを認め、保険料率変更後の保険料資料を税関に提出した。
(※)通関士への変更事実の未連絡は、知識不足の”失念”であり、関税ほ脱に係るような”悪意”や”仮装”の事実は無い)。④ 保険料率の変更(アップ)により、結果としてCIF価格は増額し、
”増差税額”が発生し、提供済みの担保額が不足する
結果となった。
⑤ 輸入者は、貨物の引取りを急ぐため、「増差税額に相応する”不足担保額”」を追加設定した。
※ この時点では、「輸入許可前引取承認」の”承認前”である。⑥ 税関は、増差税額の追加納付に加え、増差税額分に相応する『過少申告加算税』の納付を課徴した。
☆
さて、この場合の「輸入許可前引取申請」の承認に際し、税関が課徴する「過少申告加算税」は、10%でしょうか?、5%でしょうか?
あるいは、従来の”是正による修正申告”のように、「輸入許可前引取申請書」の税額を訂正し、増差税額相応の担保を追加することで、「過少申告加算税」は、”課徴されない”=0%となるのでしょうか?
「輸入許可前引取承認」という特殊性に加え、昨年1月からの法令改正に係る内容だけに、一昨年までの関税法規定で実務を処理してきた通関士にとって、頭を抱える内容とは思います・・。
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木