『事後審査制度ー追徴課税ー平成28年度税制改正ー加算税の見直しー③』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4225)
昨年度(第50回)の通関士試験における通関実務科目・輸入申告書作成問題は、日本・米国・ベトナム間にまたがる水産物加工食品に係る『三カ国間逆委託加工貿易』での出題内容でした。
試験後に大きな話題となったのが、『歩留まり(ぶどまり)』という、部材の製品化効率という”言葉(ことば)”への不認識と思われがちですが、実際にその得点判断の大きな論争となったのは、この『歩留まり』ではなく、もう一方の、我が国から加工国(ベトナム)への『製造技術指導に係る技術者派遣費用』の扱いです。
原則的には、「当該費用は、買手が水産加工の技術指導を本邦の他社に委託して派遣する費用」であり、”買手により売手のために行われた間接支払い」に該当し、(関税定率法第4条第1項本文、同法基本通達4-2の3(3)ただし書き)による課税価格に算入する「加算費用」と解釈される内容とは思われますが、”国家試験問題としての解答への条件の確定的絞り込み”に曖昧さを残し、結果的に”非加算となる場合もあり得る”との判断で、「加算・非加算の両方を得点とする」処理が行われました。
☆
『「語句」ではなく、取引き全体の「読解」』
現状の我が国の「モノ作り(製造活動)」や輸出入貿易活動は、国際物流のスピード化と技術革新により、その多くが国際間に跨る中で行われ、実際に輸出入の過半数は「グループ内貿易」と言われるほど、複数企業間・複数国間にわたる複雑な形態で実施されている実態にあります。
※
従来の課税価格の決定判断においては、例えば、「仲介料:買付手数料」とか、「我が国で開発された技術を除く」とする”語句”での単純な判断でよかったのですが、現状の貿易形態下では、これらの”語句”のみによる「課税価格の決定に係る加算/非加算」の判断は不可能と言わざるを得ません。
とりわけ、「ロイヤルティ」等の判断においては、その支払いが、「輸入物品に係る輸入取引きの条件となっているのか?」、複数関係国・企業間において、そのロイヤルティの支払いは、「”仲介料”として加算すべきか?ー”買付手数料として非加算なのか?」 その判断決定は問題中の表現語句のみならず、取引き全体からの判断を強いられる出題の”読解力”が深く求められます。
つまり、輸入物品の輸入取引きの内容からして、その費用が加算なのか?非加算なのか?とするのであって、定率法第4条に規定するそれぞれの”語句”は、取引内容を具体的に表現する語句に過ぎず、語句=加算/非加算ではなく、語句に代表される取引内容が加算/非加算なのです。
blog up by Bewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木