『事後審査制度ー追徴課税ー平成28年度税制改正ー加算税の見直しー②』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4224)
【事後審査】-輸出者に対して行われる許可後の調査が、法令に沿った適正な輸出管理体制や通関処理体制が確立されているかの確認するかの目的であるのに対し、輸入者に対して行われる事後調査は、輸入貨物の税務調査が主とした目的となっています。
大規模で悪質な脱税行為を行っていると想定される際に行われる犯罪捜査に準ずる捜査(犯則調査)である場合を除き、原則、事前に税関から事後調査を行う旨の通知が輸入者宛に行われます。日程を決めるに当たっては、ある程度会社の事情を考慮した上で、実地調査が凡そ3日か~5日(又は5日超)をかけて行われます。調査によって申告の誤りなどが指摘され納税額が不足している場合は、不足分の納税に加え、過少申告加算税又は無申告加算税が課されます。なお課税標準や納付すべき税額の基礎となる事実について隠ぺい、仮装などの悪質な脱税行為が見られる場合には、重加算税が課されることになります。
【追徴課税や加算税の対象になりやすい要素】
改正法の運営方法および輸入事後調査の実施状況から、税関は取締りを強化することで、輸入者に対して、適正な納税申告、および自主的な修正申告をより一層求めるようになると考えられます。
特に申告の誤りが多い要素として、遡及的な価格調整金(移転価格調整に基づくものを含む)、申告にふくまれていない課税対象のロイヤルティ等、輸入申告の時点とは別に支払いを行った費用で課税価格に加算すべきものが挙げられます。平成28年度の事例では調整金での課税価格が2年間の取引で約200億円の増額、追徴課税も比例しておよそ11億7千万円になったものがありました。
その他、輸入品を製造するために事前に輸入者から輸出者に、直接又は間接的に無償で提供された材料に係る価格についても申告漏れが起こりやすい要素です。同年度の事例においても、無償で提供された材料を申告価格に含んでいなかったことから、課税価格が約9億の増額、追徴課税は約7.5千万円にまでなるものがありました。
また、課税価格のみならず、関税率を決定するために輸入時に付与された関税分類番号(HSコード)が誤っている場合や、充足すべき条件を満たしていないにも関わらず特恵税率が適用されている場合等も散見されます。
(記事参照:PwCーCustoms and Trade News (PricewaterhouseCoopers WMS Pte.Ltd.))
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木