(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (3254)
「ボルドーというブランドにあぐらをかいていては、私達の世代は生き残っていけません」。
ワインの本場、フランス・ボルドーのワイナリーを継ぐ若き経営者は、「ワイナリー・ツーリズムなどの新たな経営戦略・収入源の確保を模索する。
若い世代が危機感を募らせる背景には、近年のニューワールド・ワインの台頭がある。フランス本国を含むEUでは経済が低迷し、高級ワインの売上は芳しくない。世界の市場においても、チリ産や南アフリカ産の低価格ワインが躍進し、ヨーロッパワインの販売量は落ち込む一方だ。
そこに
”中国マネー”が参入した。
中国では2000年代、経済成長に伴ってワイン消費量が急増した。高価な赤ワインを求める中国側の需要をガッチリ掌握したのが、ボルドーだった。その結果、2012年には中国はボルドーワインの最大輸出市場となった。
2013年は中国当局の規制により数量・金額とともに大幅に減少したものの、2015年には盛り返し、輸出本数6,400万本(前年比:31%増)、輸出額は2億7,700万ユーロ(同25%増)を記録した。
ちなみに日本へのボルドーワイン輸出本数は2,100万本(前年比:3%減)、輸出額1億1,300万ユーロ(同1%減)だった。
中国人の”爆買い”はワインボトルにとどまらない。ボルドーでは、中国人によるシャトー(ワイナリー=ワイン醸造所)の買収も進んでいる。7,500軒あるシャトーのうち、すでに100軒以上が中国人の手に渡っている。だが意外なことに、地元では、中国資本への反発はないようだ。それどころか、中国実業家にはワイン騎士団の勲章を授与し、メディアを大勢ボルドーに招くなど、囲い込みに必死なようにさえ見える。子息を中国に留学させるシャトーのオーナーも大勢いると聞く。
一方で、中国市場に依存するしかない現状を危惧する生産者もいる。
「”新規”の消費者は、ボルドーワインの値段しか見ていない」。高級ワインがもてはやされる中国では、値段が高ければ高いほど売れるという。
「そうした傾向には正直、疑問を感じます。
ボルドーのワインは単なる”酒”ではなく、極めて文化的なものなのです。我々生産者は、その文化価値を消費者にも理解してもらいたいと思っています。そうでなければ一時的なブームで終わってしまう」
ボルドーの人達は、ワインにまつわる歴史や物語をとても大切にしているのだ。
ワイン関係者が集まるパーティーの席で、貴重なヴィンテージワインを「カンぺー(乾杯)!」とイッキ飲みする中国人グループを、地元の列席者が悲しそうに見つめていたことを思い出した・・・。
(記事:https://courrir.jp/news/archives/58510/2/ 取材協力・ボルドーワイン委員会)
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世界で「日本酒」が「ライス・ワイン」として、人気を博しブームになっていますが、「日本酒の海外展開」には大事なポイントがあることを、「ボルドー・ワイン」に学ばなけねばなりません。単に「”酒”として日本酒が海外での販売を拡大すればいいのか?」、「日本文化を理解してもらう一つの媒体」、「我々、日本人の気持ちを”日本酒”に込めて、海外に紹介するのか?」
世界の人々が「日本酒に込める想い」をしっかりと汲み取ることができるでしょうか・・?。
それとも、世界各国の様々な”酒”の一つに終わるのでしょうか?
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木