『日本のバランス・シートー③、「ギリシャと日本」』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (3220)
『ギリシャと日本の違い』
ギリシャの実質的な国家財政破綻を受けて、約1100兆円の債務(借金)を抱える日本もギリシャのように国家破綻するのではないか?と心配する(又は煽る)向きが増えてきた。
単純に比較すると、ギリシャの国家債務は約43兆円で国内総生産(GDP)対比で約170%、日本はGDP比では約240%と、一見日本の方が危機的状況にもみえる。
(※ 一年間に日本全体が稼ぎ出す金の2.4倍の借金があるという数値になります。)
しかし、ギリシャと日本ではまったく状況が異なる。ギリシャの債務(借金)のほとんどは外国人(約80%が欧州中央銀行等の公的機関)が債権者なのに対して、日本の債務はほぼ全て(約97%)は日本人が債権者であり、日本人が日本人に融資しているという形で国内で資金が回っている。従って、ギリシャのように大々的に海外に対して日本がデフォルメ(債務不履行)することはあり得ない。むしろ日本は対外的には世界一の資産大国で、海外に対する対外純資産は約360兆円ある(2015年7月時)。「国内余剰資金ランク」は、1位=日本、2位=中国、三位=ドイツ、4位=スイス、5位=ホンコンで、日本は3位のドイツの2倍以上の余剰資金を持っています。この膨大な資産のおかげで日本は貿易赤字になっても全体で経常黒字になるほどだ。日本は国際的な収支ではしっかりと稼ぎ続けている。
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「日本は輸出立国であり、モノが輸出されない限り、日本は立ちいかなくなる」との声がいまだに聞かれます。しかし、相当以前から「モノの輸出で海外から稼ぐ収入」と「モノの輸出以外での海外からの収入」が逆転し、益々にその差は開いています。
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【貿易収支】:(輸出金額)-(輸入金額)の差額です。輸入超過になれば「貿易赤字」となります。
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【所得収支】:海外投資金からの(配当金)や、(特許使用料)などの海外からの支払金です。
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【経常収支】・「貿易収支」∔「所得収支」の差額。
日本という国としての、対外的なプラス/マイナスです。
モノの輸出=【貿易収支】が”赤字”であっても、それをはるかに超える【所得収支】の”黒字”によるカバーによって、
対外的な最終額=【経常収支】は1年で4兆円という黒字です。これは、日本から外国に出ていくお金よりも、外国から日本に入ってくる方が4兆円多いということですから、日本の資産は増えています。
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『ギリシャと日本』
ギリシャと日本を比べる論調が、テレビや新聞などで見られますが、まったくおかしいとしか言いようがありません。ギリシャだと、ユーロ紙幣を発行できないだけでなく、国債の7割が外国によって消化されています。
さらに経常収支は赤字で、「ユーロ共通通貨建ての国債」ですから日本とは真逆です。それに、欧州共通通貨のユーロはギリシャに帰ってくりとは限りません。より信用のあるドイツやフランスに流れていくのが自然でしょう。
「日本」と「ギリシャ」を並べて比べること自体がおかしいのです。
(記事出所:yahoo 知恵袋ー「日銀・資金循環」、「内閣府・国民経済計算」、などの一次ソース)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木