『輸入米:高値に見せかけ 「調整金」還流、国は放置』
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安すぎる外国産米が輸入されないよう国の管理下で行われている「売買同時入札(SBS)」を巡り、業者間で輸入価格を実際より高く見せかける取引きが横行していたことが内部資料などでわかった。
農水省は外部からの指摘を放置していた。同省は「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)」承認のために「国産米と輸入米の価格は同水準」と農家を説得してきたが、外国産米は国の説明より安く流入しており、TPPによる輸入拡大に向けて対応が問われそうだ。
【SBS:(Simultaneous Buy and Sell)=「売買同時入札」】
1993年の関税と貿易の一般協定(GATT)ウルグアイ・ラウンド合意を受け、主に主食用の上質のコメを受け入れるために国が1995年度から始めた入札方式。国が商社から輸入米を買入れ、事実上の関税を上乗せして卸業者に渡す。買入れ価格と売り渡し価格には予定価格が設定されている。輸入されたコメは牛丼や回転寿司のチェーン店などで使われ、インターネットでも販売されている。
【SBS米】=
SBS米とは、海外より輸入されるミニマムアクセス米の中で、SBS方式で輸入されるコメのことを言います。SBS米は、主に主食用に用いられ、近年のミニマムアクセス輸入米の内10万トン分の枠を占めています。
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総合商社「兼松」や取引相手の卸業者の内部資料によると、2013年10月のSBS「売買同時入札」で両者は「兼松が輸入米を145円/キロで国に売り、国は約194円/キロで卸業者に売る」との条件を示し308トン分を落札、国は社名を伏せて同様の情報を公表した。
一方で兼松は利益分を含め105円/キロ前後で輸入米を調達し、国から支払われる代金との差額40円を「調整金」として卸業者に渡した。卸業者は公表価格より調整金分だけ安い154円/キロ前後で輸入米を入手した。兼松は少なくとも2011~2014年、こうした取引を繰り返していた。
卸業者は、農産品を巡るTPPの日米協議が激化していた2014年10月、調整金の存在を農林水産省にメールで伝えたが、担当者は「一部商社の独自の商習慣」などと対応しなかった。その後も農水省は「SBS米の価格は国産米と同水準。TPPは国産米の価格に影響しない」との説明を続けた。
(記事出所:毎日新聞 2016/09/14)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木