(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (3131)
前号では「課税価格」の構成要素の一つとして(輸出国における倉庫料・保管料)を取り上げ、同じEXW(工場渡し/売手の倉庫渡し)条件と言えども、そのバックボーン=費用発生状況によって、「本邦輸入港到着までの運送に関わる費用」にも成り得るし、反対に「貨物引き渡し後における、買手の自己都合による保管料」で、課税価格には加算されない場合もある内容をアップしました。
同様に、関税定率法第4条「課税価格の決定」の各条項において規定されている文中の全ての「加算要素」・「控除費用」の運賃、保険料、保管料、検査費用、割増金、金利、公課、値引金、役務費用や特許権等の使用などのロイヤルティ・ライセンス料、買手により提供された物品・役務の費用、仲介手数料等は単純に【語句】のみで判断することは、現状のグロ-バル化された貿易状況を反映させた出題内容においてはできません。
端的な一つの例として、「買付け手数料」があり、関税定率法基本通達4-9において、「買手から支払われる手数料(仲介手数料や販売手数料)は課税価格に参入される。ただし、「買付けに関し、買手を代理する者に対し、その買付けに係る業務の対価として支払われる手数料
(買付手数料)については課税価格に参入されない。」と規定されています。
しかしながら、この「買付手数料」の意味は、単に買手に代わり貨物の買付けを代理する者という限られた内容ではなく、「輸入貨物の輸入に関して外国において買手に代わり業務を行う者に対して買手が支払う手数料の全般の意味であり、買手に代わって行う業務には、契約成立までの業務、商品の引渡しに関する業務、決済の代行に関する業務、その他クレーム処理に関する交渉等の業務など幅広い内容が含まれます。
また、近年の通関士試験においては、「輸入貨物の原材料の買付けに関して、仲介者に支払われる買付手数料」などの出題例も見受けられます。
関税法第4条の規定は、「輸入取引きにおける輸入貨物に係る経費」であり、当然に輸入貨物の原材料に対する(買付手数料)は規定外となります。=(買付手数料)という【語句】での判断ではなく、問題記述の内容理解からの課税価格決定判断が強く求められる出題への変化を特徴とします。
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そのために基本となるのが、『課税価格とは?』の完全な理解です。関税定率法第1項の不完全な理解のままで課税価格計算問題に臨むと、【語句】のみに踊らされて、ことごとくの不正解を招くことになります。
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さらには、これらの加算要素/控除費用の全部/一部と、経費や貨物によって”案分計算”を必要とする出題の増加の特徴があり、問題記述を”冷静・沈着ー敏速・適正”に読み取り→判断し→数式を組み立てる=受験生の”読解力・算数力”が大きく試される出題に替わっています。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木