(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (3123)
我が国においては、『受験』=「関係知識の暗記」という長年の片寄った対応策が定着し、「記憶すべき内容の”理解と応用”」が軽視され続けてきました。関係知識・情報を覚えなければ、その先の理解も活用にも至らないのは事実ですが、長年の”受験戦争”においては、ひたすらにその”記憶量”のみを問う試験内容であったことは間違いなく、誤った受験体制の弊害を生じさせており、「”理解”・実務処理”」への方向性転換が実社会から求められている早急な課題ではないでしょうか。
この意味で、『受験生の「読解力」=”沈着・冷静ー迅速・適正な事務基礎能力”と言っても、なかなか解ってもらえないのですが、次の通関業法に係る過去問題例はいかがでしょうか?
【問 題ー(通関業の許可の基準)】
「・通関業の許可を受けるためには、許可申請に係る通関業の開始が、その営まれる地域における通関業務量及び通関士の数に照らして、必要かつ適当なものである必要がある。」
【解 答】: ✖ 誤り、問題は誤った内容の記述である。
【解 説】
(通関業法第5条第3号)
通関業の許可を受けるためには、許可申請に係る通関業の開始が、その営まれる地域における通関業務の量及び
通関業者の数に照らして、必要かつ適当なものである必要があると規定されている。したがって、
「通関士の数」という記述は誤りである。
☆
実際は、何年も前から”死条文”とは思えますが、通関業法においては第5条第3号にはっきりと規定されている
「需給関係についての基準」であり、改正前の本年の試験においては、解答・解説の通りとなります。
(※)
・「通関業者の数」←「通関士の数」という”誤記”を迅速に読み取ることができるか、しっかりと見落とさないかどうかによって、”得点に繋がるか否か”の分かれ道となります。
つまり、通関業法第5条第3号の「通関業の許可・需給関係」の条文を受験前に記憶しているかどうかというよりも、本試験中での問題記述の”誤記”を見つけ出し、誤記であることの判断力で勝敗が決められてしまいます。
(※)
また、この条文は通関業法改正後は
”廃止される条文”である旨が発効されており、併せて
「専任通関士制度の廃止」により、「通関業者は、営業所ごとに、通関業務に係る貨物の数量及び種類並びに通関士が審査しなければならないこととされている通関書類の数、種類及び内容に応じて
必要な数の通関士を置かなければならない。」(改正後ー通関業法施行令第5条)と改正となります。
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本年度=第50回通関士試験においては、「現職、通関業従事者の受験生も多く居る」と予想いたします。
この通関業務従事者は、「通関業法改正」内容を税関及び業界での「法改正説明会」等で、すでに事前に理解しているのであり、これを逆に狙った上記の問題のように、「7月1日現在施行法令を出題範囲とする。」本年度の通関業法科目において、”改正後の内容との混乱”を呼ぶ”逆仕込み”での問題が出題されてくる危険性も当然に想定されるのではないでしょうか。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木