(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (3076)
『累積』は、EPAなどの貿易協定の原産地規則の救済措置的なものですが、現在ではほとんどのEPA(経済連携協定)においてこの『累積(ACU)』が採用されています。
解り易く言えば、相手国の原産品も自国の原産品として扱うことができる、あるいは、相手国での生産を自国で生産したものと扱えるというルールです。一般特恵関税制度での(自国関与品)に該当する規定です。
北欧やアラスカで採捕された「シシャモ」が冷凍されて中国やアジア諸国に送られ、現地での加工後に、日本から送られた”日本語のパッケージに袋詰めれれた商品が日本のスーパーに並ぶ現実です。
『和・地鶏から揚げ』として売られている鶏肉から揚げも、日本から送られた「冷凍地鶏鶏肉」がタイ国においてオーストラリア産小麦を使用して製造され、スーパーに並べられていると考えるのは何ら不思議ではありません。
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日本で生産された冷凍鶏肉は、EPAの規定によるタイの原産品ではないので、非原産品の材料となり、から揚げ(1602.32)についての
実質的変更基準である「他の類の材料からの変更(第1類又は第2類からの変更を除く。)」を満たさないことがわかります。
このままでは、製品であるから揚げは非原産品として、EPA税率の対象にならないこととなるのですが、EPAには、日本の原産品の材料は、相手国の原産品の材料として扱うという規定があります。
この規定のことを
『累積』と呼びます。
この例では、累積の規定によって、日本の原産品である材料の冷凍鶏肉は、タイの原産品として扱うこととなり、
製品であるから揚げはタイの原産品となります。累積の規定を利用することで、結果として原産品の範囲が広がります。
(参考)
世界のFTA(自由貿易協定)やEPAの関税撤廃・関税率引下げの中には、さらに累積の範囲を拡大させたものもあります。A,B,Cの三カ国がA-B、B-C、C-AのFTA/EPAを締結している場合に、三カ国での生産をカバーするような規定を導入するなど)
(記事参考:財務省・税関 「EPA原産地規則の初歩」)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木