(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (3045)
『TPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partonership Agreement)・環太平洋戦略的経済連携協定』
甘利大臣が辞任し、2月4日には合意文書の署名があったので、「TPPはもう終わったこと」とのムードになり、このところ、TPP関連の話題が少なくなった。
ただ、現状は「大筋合意」が終わっただだけで、協定の発効に向けては
”二つの重要な課題”が残っている。
1) 発効には今後、参加12ヵ国の議会承認・国内法整備を必要とする。
2) 大筋合意に至った合意文書には、「日本語の正文がない」
TPP協定は、2年以内に参加する12ヵ国すべての議会の承認・国内法整備を終えれば発効します。
しかし、2年以内にこうした手続きを終えることができなかった場合は、12ヵ国のGDP(国内総生産)の85%以上を占める少なくとも6カ国が手続きを終えれば、その時点から6か月後に発効する仕組みになっている。参加国中のGDPは、米国=60.4%、日本=17.7%と、この2カ国だけで全体の78%に達するため、それに、GDPが比較的大きなプラス4か国が国内手続きを終えれば、TPPは2018年4月に発効します。
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このことは、TPPの大筋合意には至ったが、「米国および、日本の国内議会承認が得られない場合は、TPPは発効されずに”お流れ”となる」ことを意味します。
米国の大統領選挙を前に、野党・共和党のトランプ候補は、激しいTPP反対論を述べて有権者の賛同を高め、これを受けて、TPPの推進張本人であったはずの与党・民主党のクリントン候補も最近では、TPP反対論の選挙演説が強まっています。 いずれにしても
、「米国の国内議会承認」が完了されない限り、TPPの発効は条約として成立しません。
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今一つ、「合意文書正文」は、英語、フランス語、スペイン語の3カ国語のみで、参加国の中でGDP第2位の日本語による「正文」はありません。これで、充分な討議が行われたのか、また、今後の国会において、討議・承認に至ることができるのか、日本の国会承認も前途多難が予想されます。
(※) TPP合意文書・”日本語正文の意味”に関しては、次号に続けます。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木