(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2978)
造船技術の発達とともに、一度に大量のコンテナを運ぶことによって輸送コストを削減するというスケールメリットを活かした船会社の戦略が大きい。これにより、カスケード現象と呼ばれる変化が国際航路に生じている。
『カスケード現象』とは、ある航路に大型船が投入されると、それまで就航していた船が玉突きで他の航路に投入替えされるという滝(カスケード)のように段々になっていくことで呼ばれている。
具体的には、欧州航路に入っている9,400TEU積みの船が14,000TEU積みに置き換えられた場合、元の9,000TEU積みの船を廃船にしてしまうのはもったいないので、次の主要航路である北米航路にスライドしてくる。そうすると、北米航路に就航していた,8,000TEU積み、7,000TEU積みの船が9,000TEUの船に置き換わっていく。さらに、元の北米航路就航の船がアジア航路等に押し出しで入れ替わってくるという全体的な外国船の大型化が進むものと予想される。
欧州航路は航海距離・時間が長くスケールメリットを最も要求する航路であるが、航路に投入される船が大型化されることは、欧州航路だけの話ではなく、当然に他の航路もカスタード現象によって船の大型化が進んでいくことになる。
現状、我が国への欧州航路には8~9,000TE積みの船が投入されているが、13,000TEU積み船を就航の動きであるので、5~6,000TEU積み船が投入されている北米航路就航船が8,000TEU積みのコンテナ船以上のより大型船に替わっていく。
(記事抜粋:松良精三 氏 2014/12 国土交通省港湾局港湾経済課港湾物流戦略室長)
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問題は、(旧東京タワーを横倒しにしたよりも巨大である)という外国貿易船の”超大型化”に伴う接岸可能な港の限定、敏速な積卸し可能な近代的なコンテナ基地整備と、1万数千本という20フィート換算での大量の(実入りコンテナ)を集荷させることへの国内物流ネットの構築であり、従来、各港・各県が競ってきた国際港の構築・航路開拓は、今後は数港へのセンター基地工港化へと選抜されていく動きが強まることからは避けられない。
少量貨物で、各港毎に海外港との直行便を持つという(極めて運送コストの採算性の悪い)=スケールメリットの少ない港・海外航路は早期に淘汰されていくことになろう。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木