(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2726)
前号の終わりに、
「つまり、現行の通関士試験は、法令を覚えれば合格できるというものではありません。」とのある面、意味不明の書き込みをしています。
合格を目差して学習を深める受験生からすると、「では、受験対策として残る2ヶ月間、何をどう過ごせばよいのだ!?」との当然の疑問と憤慨の思いがあるでしょう。
通関士試験が、学習を重ねた受験者を(合格させるための試験か?)あるいは、(不合格にさせるための試験か?)その何れか?と聞かれれば、僕は
「通関士試験は、不合格にさせるための試験問題構成である!」と即答します。
近年では毎年、平均して全国で1万人内外の受験者が受験し、その10%=千人前後の受験者が合格します。10%=千人を選抜するというよりも、その他大勢=9千人をふるい落とす試験という意味合いの方が強い試験と言えるのではないでしょうか。
いわゆる(受験勉強)として受験対策を重ねてきた受験時間・学習度合いと合格確立は直結しません。
合格者の数倍の受験勉強を費やして、深く法令の暗記に努めた受験者なのに不合格を重ねる受験者もいれば、予想外の短期間の受験対策で合格を勝ち得る受験者も毎年に存在します。
この違い・差は何?どこにあるのでしょうか?
受験者の中では、(地頭が良い・悪い)という表現をする者も居るようですが、もっと大事な明確な事実があります。
「通関士試験独特の”くせ”」、「読解力」という言葉を繰り返してこのブログでアップしてきました。
また、「通関士試験は、法令の知識を問うというよりも、出題記述を敏速・正確に読み取る受験者の(読解力)を問うという方が強い」との意味不明の理解に苦しむ記述もしています。
昨年の通関士試験であったでしょうか、通関業法の「
通関業の許可の継承」に係る問題で次のような出題があったように思います。
「通関業の許可を受けた者が死亡した場合、その相続人は引き続き通関業の許可を受けているものとして通関業務を行うことができる」
この問題記述は、明らかに誤った記述です。通関業法第13条第3項の2)において;
「通関業の許可を受けていた者が死亡した場合は、相続人が、引き続きその許可を受けているものとみなされる。」という規定は存在します。しかしながら、この規定は、「通関業の許可消滅の際に、現に進行中の通関手続きがある場合」の規定であって、(通関業の許可の継承)に係る条文ではありません。
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通関業者が死亡したときは、その通関業の許可は消滅するものとされており(通関業法第10条第1項第2号)、その相続人は被相続人の通関業の許可に基づく地位を承継することはできない。
(通関業法には、許可の承継に関する規定はない)
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つまり、「問題のタイトル」は何なのか? この場合は、第10条の(許可の消滅)であって、第13条の(消滅の際に、現に進行中の通関業務)に係る問題ではありません。
これらのポイントを沈着・冷静、敏速・正確に読み取る(読解力)が、合否を決定する大きな要因となるのです。
この対応への意識を持った受験勉強でない限り、どれほど学習を深めようとも、合格書を得ることはまず無理です。通関士試験はそのような”くせ”の強い試験です。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木