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『鉄の敵「水素」 新日鉄住金、新鋼管で商売の種に』
新日鉄住金は水素ステーション内の配管に使うステンレス鋼を開発した。合金成分量や製造法を改良し、既存品よりも強度や耐性を高めた。
実は「水素」は鉄の強度を低下させる(厄介者)。新素材を通じて新たなインフラ整備を支援する。
■「ここまで反響が大きいとは」
2月下旬、東京ビッグサイトで開かれた水素や燃料電池に関する展示会の一角に新日鉄住金の小さな展示スペースが設けられた。
外国の政府関係者や自動車メーカー担当者などが押し寄せ、会期3日間で約1000人が訪れた。「ここまで反響が大きいとは」。氏日鉄住金の営業担当者は目を見張った。
鋼管は水素を高圧に高める圧縮機や、自動車に供給するディスペンサーなどの機器の内部配管に使う。既存品は官(パイプ)の厚みが大きいうえ、管同士をつなぐのに溶接できず、ねじ切りした継手を使わなければればならなかった。だが、
新製品は薄く、溶接も可能だ。
水素は原子が小さいため鉄の結晶組織の隙間に入り込む。強度を高めるために添加した炭素が多いほどもろくなりやすいとされ、力がかかると変形することなく破断してしまう。溶接も過熱した部分の強度が落ちる。
水素への耐性を高めるにはステンレスに添加するニッケルなど合金成分を増やせば良い。だがレアメタルであるニッケルは高価なため添加量を増やすと製造コストに直結する。他の添加金属・製造方法の見直しで、既存品の3倍の強度に高めるとともに、製造中の熱処理や加工法を工夫することで、鉄の結晶組織を約10分の1まで微細化した。
「新日鉄住金』は2015年度から3ヵ年の中期経営計画で
「水素社会」などに対応する次世代鋼材技術の開発を重点項目に盛り込んだ。
新たなインフラには新素材の開発が不可欠。
開発スピードを緩めず対応製品を実用化したい考えだ。
(記事:日本経済新聞 企業報道部 林さや香 2015/03/17)