『輸出で稼ぐ構造が変化 2014年の経常黒字、最小に』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2692)
(記事:日本経済新聞電子版 2015/02/10)
「財務省が2月9日に発表した2014年の(国際収支報告)によると、モノやサービスなど海外との総合的な取引状況を表す(経常収支)は2兆6266億円の黒字だった。黒字額は前年比で18.8%減り、現行統計が始まった1985年以降で最小。輸出から輸入を引いた(貿易赤字)が過去最大になった分を企業の海外個会社の稼ぎを写す第一次所得収支の黒字で補った格好で、日本の稼ぐ構造の変化を鮮明に表している。
(経常収支)の黒字額は東日本大震災があった2011年から縮み続けており、2014年はピークだった2017年のわずか1割まで落ち込んだ。黒字額の縮小は4年連続で、3年連続で過去最小を記録した。
(経常収支)のうち、(貿易収支)の赤字は10兆3637億円と、前年比で1兆5903億円膨らんだ。赤字は4年連続で、赤字額は比較可能な1996年以降で最も大きい。
輸出は前年比9.3%増の74兆1225億円。2年連続の増加で、自動車や科学光学機器が好調だった。輸入は84兆4862億円と前年比10.3%増えた。原子力発電の代替電源になる火力発電向け液化天然ガス(LNG)の輸入が11.2%増えた。2014年4月に消費税率を引き上げる前の駆け込み需要に対応するため、1~3月に企業が大幅に輸入を増やしたことも影響した。
旅行や輸送などの(サービス収支)は3兆932億円の赤字だった。赤字額は前年比で3854億円縮小した。赤字が縮んだのは、訪日外国人が国内で使う金額から日本人が海外で支払う金額を引いた「旅行収支」と、日本企業が海外企業からうけとった特許使用料などの「知的財産権等使用料」の影響だ。
「旅行収支」は1251億円の赤字。赤字額は前年比で5294億円縮んで過去最小になった。2014年の訪日外国人が前年比で29.4%増え、過去最大の1341万人になった影響が大きい。このまま訪日外国人が増え続ければ、2015年は黒字に転じる可能性がある。(知的財産権使用料)は過去最大の1兆6948億円の黒字だった。
一方、企業の海外子会社の稼ぎを反映する(第1次所得収支)の黒字は18兆712億円と前年比で1兆5957億円増え、比較可能な1985年以降で過去最大となった。
直接投資や証券投資の収益で貿易赤字を補う構図が一段と強まっている。
(記事出所:日本経済新聞 電子版 2015/02/10)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木