(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2628)
苦節20年超えのカーボン・ナノチューブに(春)の近づき!?
☆世界を変えるか・驚異の新素材=カーボンナノチューブ
鋼鉄の数十倍の強さを持ち、いくら曲げても折れないほどしなやかで、薬品や高熱に耐え、銅や銀さえよりも電気を、ダイヤモンドよりも熱をよく伝える。
コンピューターを今より数百倍も高性能にし、エネルギー問題を解決する可能性まで秘めている。
そんな材料があると聞いたら、みなさんは信じられるでしょうか?
その夢の新素材は日本のつくば市で発見されたものです。(※)前号アップの「炭素繊維」も、同様に日本が新たに作り出した新素材です。
『カーボンナノチューブ』と言っても、どんな物なのか?すぐには理解できませんが、カーボン(炭素)ですから、物が燃えてできる煤(スス)とか、身近では、鉛筆の芯の黒鉛と同じ物質です。
そうですね! 結晶の仕方が違うだけで、宝石の王様・「ダイヤモンド」も炭素(カーボン)です。そう、ダイヤモンドの元をただせば=(炭)です。(笑)
ナノ(1nm)とは長さを表す単位で、(10億分の1メートル)前後の微細な筒状の構造を持つ炭素粒子です。究極の炭素の結晶体であるダイヤモンドに見られるように、蜂の巣状の六角形を作る炭素同士の結合は、ありとあらゆる原子結合の中で最も最強といわれています。カーボンナノチューブは全体がこの最強の結合でできていますから、極めて曲げや引っ張りに強く、かつ多くの薬品とも反応せず非常に安定なのです。ナノチューブは、その作り方によって、電気をよく通す良導体にも、トランジスタのように半導体にも成り得ることが解ってきました。
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これら、カーボンナノチューブの電気的特性は次世代コンピューターの素子として大きな可能性が考えられます。一般的な銅線では1平方センチ当たり100万アンペアほどの電流を流すと焼き切れてしまいますが、安定かつ丈夫なナノチューブは10億アンペアを流すことができるという違いがあります。
近年、電子ディバイスの小型化が進み、電子回路が微細化することで、電子回路に流れる電流密度が高くなっています。このままで行くと2015年にはデバイス内の電流密度は銅と金の破断限界(焼き切れ)を超えると言われてきました。具体的に今回、既存の製品の100倍の電流を流せる銅とカーボンナノチューブの複合材料での微細配線加工技術が確立されています。
計算上では、現行のPCの処理スピードと処理情報量を100倍にアップできるという事になります。
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こうしたことから、「人類は今後何万年かかっても、カーボンナノチューブ以上の素材を作り出すことはできないだろう」と言う人までいるほどです。
日本での発見から、様々な問題点の解決と具体的な産業分野への利用先が模索されてきましたが、次々と解決され、安定量産化や特性発見による具体的製品への応用が急速に進められています。
(記事参考:日経テクノロジー、産業技術総合研究所(産総研))
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木