(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2619)
『(産・官・学の産業クラースターへの期待ー②』
明治以後の日本の近代化を支えた(外貨獲得)、我が国からの輸出品ののスタートと言うべき代表製品は(絹糸)と思えます。米国・デュポン社によるナイロンの発明後、昭和40年代頃まで(絹)は我が国の重要な輸出品であり、中間山間地における重要な産業でした。
折りしも、「富岡製糸場」が世界文化遺産となった今、この日本の近代化を担った「お蚕さま」に熱い視線が注がれており、衰退した国内養蚕産業にとって、起死回生の1打となる可能性もある。
『切れにくさは鉄線の約20倍! クモの糸を吐くカイコ 生物資源研究所、実用品種を開発』
農業生物資源研究所(茨城県つくば市)は、クモの糸を吐くカイコの実用品種を開発したと発表した。(クモ糸シルク)と名付けた新素材はシルク=絹糸にクモの糸が含まれている。切れにくさは鉄鋼の約20倍。研究結果は米・科学誌『プロスワン』に掲載される。
研究グループは通常のシルクを生産する蚕(カイコ)に、鬼蜘蛛(オニグモ)の縦糸のタンパク質の遺伝子を導入した。遺伝子組み換えカイコが作った繭(まゆ)から取った糸は、オニグモの縦糸のタンパク質を1%弱含み、天然シルクより1.5倍以上切れにくい強度だった。
この生糸を煮て不要なタンパク質を取り除いたところ、光沢や柔らかな風合いは従来のシルクと同じで機械で編んだり織ったりできた。
研究グループは養蚕農家で飼育できるように、フェンスで隔離した野外の施設で飼育試験を実施する準備を進めている。
今後、オニグモの縦糸のタンパク質の量を増やし、更に強い「クモ糸シルク」を開発し、手術用の縫合糸や防災ロープ、防護服などへの応用を目指す。
(記事参考:日本経済新聞 2014/11/18)
『蚕(カイコ)が先端工場に、発光する絹糸や医薬品の製造・・・』
大学の研究室などによる遺伝子工学を駆使し、”光る”などの機能性も持つシルクが開発されたほか、化粧品や医薬品の原料をカイコに作らせる研究も進む。
すでに、かつての(養蚕業)を復活させ、輸出産業まで成長させている実例として、山口県・津和野市の「サナギタケ」があります。(夏虫冬草)という漢方薬・サプリメントの原材料として台湾に輸出されています。
☆
明治~戦後と、中間山間地の産業を支え、近代化とともに次々と消えて行った(養蚕)や(和紙)、(薬草)、(林業)・・・、これらの、かつてその場所で営まれ一定期間において繁栄した地場産業を、大学などの現在の研究成果をもって見直してみようという試みである(官・民・学の産業クラスター)が、過疎・老齢少子化する中間山間地における産業振興の一つの方法であるように思えてならない。
(養蚕)を養蚕として、(和紙)を和紙として、(薬草)を薬草としてではなく、あるいは、中間山間地において、過ぎ去ってしまった・終ってしまった過去の産業というネガティブ思考ではなくて、大学等が持つ新しい技術で見つめ直す”幅の広い着眼・発想”=新たなプラス思考が、今後の過疎・老齢少子化の襲う中間山地の産業振興においては、何よりも必要なのではなかろうか?
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木