(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2532)
前号での(DAT/DAP)という新しいインコタームズ(貿易条件)を考えていて、近年の通関士試験での(合格を勝ち得る!)大きなポイントとして、『(固定観念)からの脱却・・・』という言葉があるのではなかろうか?と感じて、追加してアップしました。
(不合格)という失敗を繰り返す受験者に共通性が見受けられます。(貿易)とか(通関)に対して
”前世紀的な固定観念”を固守し、その自分の固定観念の中のみで出題を解釈しようとしています。
「通関士試験」は、関税法を柱とする”法令に基づく手続き”に関する国家試験ですから、法令規定の運用上の振れのないよう、統一的な規定を定めたものであることには間違いありません。
しかしながら、「法令」=その基準原則を定めたもので、対象となる手続き=特に貿易という国際間における商活動、国際物流においては、ありとあらゆる個々の場面が発生し、時代の変化とともにその態様は変化します。
☆
・「貿易」とは=(A国)と(B国)の二国間における売買行為
・(A国)⇒(B国)への船による海上輸送や、飛行機による航空輸送
・ 輸出者=(売手)として、輸入者=(買手)とする多国間売買行為
などとする、 (二国間)、(二者間)、(一つの運送手段)、(売手=輸出者)/(買手=輸入者)等、
”旧態以前の貿易”という固定観念を捨て去ることです!
「グローバル化」=(国境の無いがごとくのモノ作り)と、繰り返してアップを重ねてきました。
(海外工場)、(海外製造委託)等においては、製品材料を海外に供与する本邦内の本社工場は(売手)=輸出者であり、完成した製品が本邦に輸入される場合は(買手)=輸入者です。つまり、買手(輸入者)と売手(輸入者)は、”同一者”で、従来の決まりきった(二国間貿易)の概念は通用しません。
「複数の国、複数の関係者、複数の輸送手段、複数の決済、複数の原産地、複数の通貨」
など、これらが、複雑に絡み合って運用されているのが、(現在の貿易)です。
米国・Apple社のスマート・フォンに
、「Designed by Apple, Assembled in China」と表記されている現在の生産活動、貿易の実態をしっかりと捉えて、課税価格の計算問題や申告書作成問題に取り組むことです。
そこには、(Mad in U.S.A)も、(Made in China)などの(原産地の表記)は一文字も記載されていません。(”多国籍企業である”アップル社がデザインし、中国で組み立てられた)の表記のみです。
この現在の(貿易の現状)をしっかりと把握してください。
相当に(受験対応)を重ね、そつなく入学試験等も乗り切ってきた”優秀と思える受験者”が、繰り返し合格を逃すのは、この「固定観念」の強さにあるのではないでしょうか?
具体的には、「課税価格の決定の計算問題」等において、法令上の(語句)のみを捉えて、応用的な解釈がまったくできない・しようとしない。
「通関士試験」は、法令に基づく国家試験であると同時に、(貿易)に係る「国際間ビジネス」に関わる内容の試験でもあります。
前世紀的な(固定観念)にとらわれて、(現状の複雑な貿易形態)への応用的な理解・解釈を広げる指向性がないと、同じ失敗を何回も繰り返す結果を招きます。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木