『通関士試験・「輸入(納税)申告書」作成問題ー②」
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2520)
近年での現状における通関士試験・実務科目の「輸入(納税)申告書」の出題は、NACCS形式による申告での
(実行関税率番号)と
(輸入申告価格)の2ヵ所の選択式解答のみです。
(※)ただし、今年も従来通りであるかは、(受験案内)の公表を見る必要があります。
前号では、出題の仕入書(インボイス)記載の輸入貨物を「実行関税率番号」に所属区分するに、国際商品分類表である「HS条約品目表」の規定に基づく(関税率表の解釈に関する通則)の構成と内容の理解が極めて重要なポイントに試験出題内容が変化していることをアップしました。
もう一方の
「輸入申告価格」も出題の内容に大きな変化がみられます。
「輸入(納税)申告書」における(輸入申告価格)=(課税価格)です。つまり、買手(輸入者)と売手(輸出者)の契約による”売買価格”や実際に支払われる金額(現実支払価格)ではなくて、関税や消費税の課税標準となる:関税定率法第4条「課税価格の決定方法」に定める原則としては、我が国
(輸入港到着時の輸入貨物の経済的価値)になります。
「グローバル化」という言葉に表現される”国境の無いがごとしの経済活動”は、かつての貿易形態から、現状は全く異なる輸出入の形となっています。実際に日本とアジア諸国間の輸出入の半数以上は、(本支店間)や(海外工場)、(グループ企業内)での輸出入が占めます。
その実態は「逆委託加工加工貿易」と呼ばれる=輸入製品の材料や製造機械、特許、商標等を我が国から、あるいは、第三国から無償や値引きで供与し、実質的には(加工賃)のみが対外支払いになっている現状も発生しているわけで、(輸出者=輸入者)と材料の売手(輸出者)と製品の買手(輸入者)が同一人である場合(輸出者=輸入者)が貿易の過半数を超えています。
☆
この「グローバル化の進展した国際経済化」において、(課税価格):輸入における対外支払い価格ではなくて、”我が国輸入港における輸入貨物の経済的価値”を算出することは、関税定率法第4条の規定に基づく、極めて専門的な知識と判断を必要とされる状況に立ち入っています。
◎
通関士試験において、「課税価格の決定方法」は、通関実務科目の(その他問題)の計算問題で別途に2~3問の出題がされており、その出題内容は”実務的”であり、問題によっては、1問で1ページにも及ぶ具体的な取引内容を解析して(課税価格)を算出する内容に至っています。
☆
ここ2~3年の試験の特徴として、「課税価格の計算問題」の内容複雑化に加え、「輸入(納税)申告書」の作成問題にも、これら「課税価格の決定方法」の内容が組み込まれていることにその大きな特徴があります。
(※)
出題に設定されている様々な条件下における費用の(加算・控除・無視)等の判断を誤ると、解答欄の(5ヵ所全体の輸入申告価格が誤り!)となる場合がほとんどで、そのトラップ(落とし穴)”に落ち込んだ受験生による揶揄:”芋蔓(イモづる)問題”と言う訳がここにあります。
昨年の試験においては、これらの”解析・判断能力”に加えて、”按分”という計算能力も大きな要素として組み込まれていました。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木