(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2568)
「経常収支の”赤字転落!”と言うと非常に悪いイメージがありますが、経済学的に言えば、経常収支の状況がその国の経済成長に直接的な影響を与えるわけではありません。経常収支の変化がどのような影響を与えるかは、その国がおかれている状況によって異なっているのです」。
『赤字の急拡大はデメリット』
例えば米国は毎年4700億ドル(約47兆円)にも上る膨大な経常赤字を垂れ流していますが、米国市場には魅力があり、それを上回る投資資金の流入があるため、経常収支の赤字は大きな問題になっていません(今年からシェールガスの輸出によって、米国の経常収支は劇的に改善しつつあります)。しかし、日本の場合には、経常黒字から経常赤字に転落することのデメリットは大きいと考えるべきでしょう。
日本はこれまで数十年にわたって経常黒字を続けており、経済や社会の基本構造もそれを前提に組み立てられています。経常赤字が急激に拡大すると、製造業からサービス業へのシフトが一気に進んでしまい、社会に大きな混乱をもたらすでしょう。
また日本政府の財政赤字が巨額であることや、高齢化の進展で貯蓄率の低下が深刻になっている状況を考えると、経常赤字への転落が、金利上昇と為替下落の引き金を引く可能性があります。
長期的に経常収支が赤字になるにしても、急激な変化は避けたいところです。
経常収支を改善させるためには、(輸出を増やす!)か、(輸入を減らす!)しかありませんが、両者とも構造的な問題に起因しており、容易に改善できるものではありません。
現在のところ、所得収支を増大させることが、最も現実的な解決策と言ってよいでしょう。
具体的には、米国債に大きく偏っている官民の海外資産の比率を見直し、企業の直接投資の比率を上げて投資収益率を向上させることなどが考えられます。
(記事:大和田 崇 The Capital Tribune Japan 編集長 THE PAGE 2013/12/10)
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本日の経済ニュースによると、我が国の税制改革や円安による為替メリットの相乗効果によって、海外進出企業が、「海外プール金」の国内への還流を増やし始めていますね!
この金が「所得収支」と呼ばれるものです。ただ、現状における所得収支は企業内・グループ企業間からの収益が大半を占めます。米国のように特許権等の収益とか、他社への投資金からの収益を拡大させることが望まれます。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木