(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2435)
『石油危機40年 中東依存に逆戻り アジア需要増大止まらず』
「米国は4~5年のうちにサウジを抜く」
国際エネルギー機関(IEA)は、シェールオイルやシェールガスの生産拡大で、「米国は4~5年のうちにサウジアラビアを抜き”世界最大の原油産油国”になると語る。
「シェール革命で浮上するシナリオ」
東京大学の須藤繁教授は「シェール革命により、エネルギー供給の中心は中東から米州へ移り、
石油の時代は考えられていた以上に続く」と指摘する。
IEAによると世界の1次エネルギーに占める比率は2010年で、石油:32%、天然ガス:22%であり、2035年予測では、石油:27%、天然ガス:24%と差は縮まるが依然、石油が上回る。
20世紀の世界経済を支えてきた(石油)は、原産地が集中する中東の政治的不安定に絶えず揺すぶられてきた。米国でのシェール革命は、この不安から世界を開放するのか?
ー実は、アジアには中東への依存度が増す”逆のシナリオ”が待っている。-
確かに、シェール革命によってアメリカの石油消費は確保されるだろう。しかし、アメリカを超える中国(13億人)、インド(12億人)という巨大国家が超石油消費国への急拡大をしているのである。
『中国、インド、 自動車普及が増加』
景気減速懸念を強める中国だが、モータリゼーションの波が止まる兆しはみられない。
世界最大の自動車市場である中国の新車販売は2012年に1,930万台と米国の1.3倍に拡大した。
しかし、総人口に対する普及率は1割と先進国に比べ、まだ格段に低い。
中国の石油消費量は世界第2位、今後も年5%強のペースで成長が続き、2020年には米国を抜くとの予測もある。自動車普及率が本番を迎えるインドも事情は同じだ。
米国の原油輸入の中東離れが進む一方、アジアの需要拡大に応えられる供給与力を持つのは中東しかない。IEAは「2025年には、中東産原油の9割がアジアに向かう。アジア諸国は中東産油田と外交、防衛分野を含む包括的な関係構築を考えねばならない。」と予言する。
東日本大震災で原発比重が下がった日本。一度は落ち込んだ中東への原油依存度は再び80%を超え、石油危機前の水準に戻った。
『激しさ増す、グレート・ゲーム』
日本を圧倒するのが中国だ。イラクでは中国石油天然気集団(CNPC)などの国営石油会社が超巨大油田を含む4油田を開発・生産中だ。中国の国有石油3社が2012年に石油開発に投じた金額は500億ドル超えと米・欧石油メジャー(国際石油資本)を大きく上回る。
「グレート・ゲーム」:19世紀~20世紀にかけて、英国とロシアが、中央アジアや中東の覇権を巡って繰り広げた抗争を項呼ぶ。
”シェール革命で中東依存は逆戻りするアジア”:石油を巡る現代のグレートゲームは、中国やインドが参戦し、一段と激しさを増している・・。
(記事:Editor's Choice 日本経済新聞 2013/10/10)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木