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『受注ゼロ・・・日本の造船業界に「2014年問題」の危機』
◇ 技術力は世界一
「受注残ゼロ」の悪夢が現実味を帯びるなか、JFEとIHIが動いた。両社は08年4月
に子会社のユニバーサルとMUの統合交渉に入ったが、その直後のリーマン・ショック
でそれどころではなくなり頓挫していた。だが、昨秋にひそかに交渉を再開し、4年間も
停滞していた交渉を数ヶ月でまとめ、今年1月30日に合意を発表した。合併後の売上
げ高は約4千億円となり、国内トップの今治造船に迫る。両者は規模のメリットで造船
コストの65%を占める材料費を削減し、年100億円規模の効率化を目指す。
狙いは、コスト削減だけではない。ユニバーサルの三島次郎社長は「開発陣を手厚く
し、得意の省エネ船の開発を強化すれば韓国メーカーとも戦えるようになる」と意気込
む。両社合わせた開発部門の人員は、計1500人となり、国内で最も技術力が高いと
いわれる三菱重工業を上回る。
波や風の抵抗を受けにくい計上で、燃焼効率に優れたエンジンを搭載し、太陽光発電
なども活用するエコシップには、釜・造船工業会会長が「世界トップ」と胸を張る技術力
のアドバンテージがある。
IMO(国際海洋機構)が2014年1月以降に建造契約が結ばれる400トン以上の国際
運行船舶に対し、二酸化炭素(CO2)排出量ん0最大30%削減を義務付ける環境規制
の導入を決めたことも追い風だ。
MUは従来船より燃費性能を30%高めたコンテナ船、ユニバーサルは25%改善した
鉄鉱石や石炭を運ぶバルク船の設計を完了。受注ゼロ回避の切り札と位置づけ、売り
込んでいる。
(記事:産経新聞 2012/03/04)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木