(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2293)
『コラム:31年ぶり貿易赤字、(円高恐怖大合唱)の盲点』
REUTERS(ロイター)コラムニスト:田巻 一彦
2011年の日本の貿易収支が31年ぶりの赤字となったが、急速に進んだ円高のメリット
を指摘する声が小さいのはどうしてなのか。
2兆4000億円超の赤字を記録し、現実に原油高の影響を緩和させる結果を出し、所得
の海外流出をより小さくした点に注目してもいいだろう。
予想外に堅調な個人消費の背景に円高メリットも隠れている可能性が大きく、
『闇雲な『円高恐怖大合唱』はバランスを欠いていると思う。
〈円高で所得流出抑制〉
財務省が今月25日に発表した2011年の貿易集計では、1980年の2兆6129億円に次
ぐ史上2番目の大きさと成る2兆4927億円の赤字となった。
東日本大震災やタイ洪水の影響による輸出減少と、原発事故による原油や天然ガス(LNG)
の輸入増加が重なった結果とみることができる。
この貿易赤字傾向が継続するのか、一時的かという見通しについては様々な指摘が
交錯しているが、輸出が回復するとしても、原発稼動の先行きが見出せない現状では、原
油やLNGの高水準な輸入は継続する可能性が高い。さらに、原油価格にはイラン情勢な
ど、地政学的リスクにより価格上昇圧力がかかり続けると予想される。とすれば、規模縮少
はあるものの2012年も貿易赤字になる可能性は相当にあると予想される。
ここで問題なのは、貿易赤字国である以上、自国通貨高は経済全体にはプラス効果になっ
ていると言う点だ。
(貿易赤字)=(輸出)外国から入る金より、(輸入)外国に払う金の方が多かった。
もし、円高がなかったら、貿易相手国に支払う代金が増加し、海外への所得流出は増えて
いたはずだ。つまり、今よりも(円安)で推移していたら、日本の貿易赤字幅は一段と拡大し、
日本経済の負担するコストが増大していたことになる。
だが、国内メディアの多くは、そうした(円高メリット)に言及することはまれで、(円高のデ
メリット)ばかりを喧伝する傾向がある。
以下、次回に継続させます。 記事:(REATERS 田巻一彦氏)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木