(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2281)
『海運大手各社が頭を抱える欧州発コンテナ船の運賃暴落』
海運業界に、再び市場悪化の波が押し寄せている。 昨年はリーマンショックから回復の
兆しが見え一息ついていたが、今期(2012年3月期)は ;
海運大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)が揃って最終赤字に転落する。
3社合計で540億円もの赤字になる見通しだ。(前期は1673億円の黒字)。
燃料価格の高騰や円高などが重なって業績を悪化させているが、大きな要因は、主力の
一つである
コンテナ船・アジア~欧州航路での運賃暴落である。
船が供給過剰になっているため、足元の運賃は前年より3割も落ち込んでいるのだ。
リーマンショック前の07年、海運業界は好況にわいた。その頃に大量発注したコンテナ船
が今になって続々と完成しており、船のスペースがダブつき、価格下落に拍車をかけている。
このため、
「今期は、世界の全海運会社がコンテナ船事業では赤字」(海運関係者)
とみられている。
ただならないのが、この(コンテナ船)の供給過剰状態が当面続きそうなことだ。
2009~2010年は各社造船発注を絞ったが、2011年に入ってから再び発注が旺盛に
なっている。昨年は8月時点ですでに一昨年1年間の2倍に当たるコンテナ船が発注され
ている。
なおも大量発注を続けているのが、世界のコンテナ船市場で16%のシェアを持つ業界トッ
プの
マースク(デンマーク)で、既存船腹に対して23%もの発注残を抱えている。
このマースクの動きに、
MSC(イタリア、籍はスイス)、
CSCL(中国)などが追従している
結果、今後も今後も(コンテナ船)の供給過剰は解消されそうにない。
今もってマースクが大量発注する理由について、
1) 市況が悪化しているときは、造船価格も安い。一隻の価格はピーク時より40%安い。
加えて、新造船は燃費も良く、航行コスト競争力につながる。
2) 自らがメインプレーヤーとなり、(世界のコンテナ船海運業界)の業界再編を狙っている。
というものだ。
世界のビッグプレーヤーが仕掛けてきた価格競争に、(日本の海運大手3社)はあおりを食っ
ている状態だ。
マースクの動向が大きなカギを握っている。
(記事:週間ダイヤモンド DIAMOND-Online 須賀彩子)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木