(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2275)
これまでの各月貿易統計から試算すると、2011年度は年間で
31年ぶりの「貿易赤字」
となることが確実となった。
昨年1~11月の累計は2兆2831億円の貿易赤字になっており、今年は通年でも、
”オ
イル・ショック”昭和55年以来の31年ぶりの赤字となった。東日本大震災とタイ洪水の
影響が終息しても、世界経済の減速の波は今後も続きそうだ。
外部要因だけでなく、円高による輸出競争力そのものの低下や空洞化も成長率を低下
させる。
一方で、原発稼動停止に伴う原油や天然ガスのエネルギー輸入コストがかさみ、輸入
金額は増加を続ける見通しだ。このため、2012年前半は、少なくとも貿易赤字が定着
する見通しだ。
(貿易収支)が赤字でも、
(所得収支)はそれをはるかに上回る黒字を確保して
いるため、
「経常赤字」に陥る可能性は当面考えにくいとされてきた。しかし、過去に
おいて
「経常黒字額」が年間でみて少ない年でも13兆円、輸出拡大で恩恵を受けた
2007年は25兆円と安定的であったことに比べると、「2012年以降の
(経常黒字額)は
10兆円を下まわる可能性が高く、外的ショックに対する脆弱性が意識される。」
《財政リスク顕在化の可能性》
(経常収支)の悪化が強く意識されるのは、欧州財政危機からもうかがえるように、
「国債
市場の不安定」につながるためだ。
”巨額の財政赤字を抱えていてもリスクが顕在化してこなかったのは、一つには国内貯蓄
の超過を意味する(経常黒字)の存在が背景にある。貿易や所得収支で稼ぎ、企業や家計
の貯蓄が国債投資に回ってきた。
クレディ・スイス証券では、今後、今年同様に世界経済が3%程度の成長に停滞し、原油価
格が100ドル近い水準で推移、日本の潜在成長率が0.5%程度にとどまれば、2016年
度の日本の経常収支は実質国内総生産(GDP)比:0.2%の赤字に転落、10年もの国債
金利は1.7%に上昇すると試算している。
(記事:REUTERS 2011/12/28)