(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (1432)
全号で、
『(世界銀行)と(WTO)の協動』の記事をアップしましたが、アジアに
おける開発金融の最も重要な担い手であるアジア開発銀行においても「貿易の円滑化」に
向けてWTOとの協動の動きは、より具体的であり、急である。
今年5月4日、ADO(アジア開発銀行)の黒田総裁とWTO(世界貿易機関)の
御厨事務総局長は、アジア太平洋地域においての「貿易の円滑化」を進めるため、
両組織の戦略的なパートナーシップを協力するための覚書=MOU(Memoraundum of Under-standing)に署名した。
この覚書は、国際貿易をより容易なものにするためのより活発な協動関係を築くことを目的
とし、更に今後、長期間の持続可能で包括的な貿易手続き開発をサポートしていくことを目
的とする。
この覚書により、この二つの組織が税関の近代化、改革、キャパシティービルディング、研
究・分析の分野でより密接に協力していくことになり、加えて、両者の間の情報交換や知識
の共有、スタッフの協力、協同の出版や知的成果物の作成を促すことになる。
また、AOD総裁はこの覚書の意義について、「国際貿易を円滑化し、頑固としたものとする
ことは、AODメンバーであるアジアの開発途上国への実質的な経済効果をもたらす。そし
てこの覚書の基で、AODの(インフラ融資や地域協力プログラム)とWCOの(関税協力)の
能力が互いに補完し合い、「貿易の円滑化」に向けての両者の努力の効率性を増すことに
なろう。」と述べた。
アジアにおいて多くの企業が、不効率な税関手続きのために国境を越える取引を行うに際し
困難に直面し、ビジネスのコストを高いものとしている。
国際貿易におけるサプライチェーンを確立することは、中間段階や最終的なゴールにお
いて、国際貿易を拡大させ、企業がそれぞれのビジネスをより成長させ、より多くの雇用を
創出することに寄与する。
WCOの御厨事務総局長も、「ADBとWCOの間の覚書は、二つの組織の間の長い歴史の
新たなステップであり、両者の関係を強固にし、世界的ないし地域的な重要課題について今
後の背骨を形作ることになる。そして、「貿易の円滑化」を強固し、貿易のサプライチェーンを
確固としたものとするための両者の協同の努力は、経済の回復と安定を促し、新たな安定的
な歳入の増加を促すことになろう。」と述べるのである。
「記事:藤岡 博(元・財務省、関税局長) 貿易と関税 2010/12」
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木