(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4363)
近年、通関実務科目の「課税価格の計算問題」が極めて難解な内容となってきています。穿った見方をすれば;
1)受験者の”読解力”を図るための複雑な表現記述
2)解釈によって、どちらにも触れる”あいまいな記述”で合格率調整確保への手段
3)問題作成者の”過度な自己スキル表現”=自己アピール
などの見方もできるかもわかりません。しかしながら、通関実務科目を受験する受験者は、通関実務経験がない、もしくは実務経験年数が少ない受験生であり、過度に複雑な内容ではなく、下記の質疑応答事例のごとく、法令規定と直接に相応対比できる内容の出題に留めるべきであると、個人的には感じています。
税関HP・輸出入の手続き・質疑応答事例(関税評価)
『買手が売手に派遣する輸入貨物の技術指導者に係る費用』
【照会要旨】
当社(買手)は、売手から家具を購入(輸入)します。
当社は、売手から輸入する家具の製造に必要な技術の指導に従事させるために売手の工場へ当社の社員1名を派遣し、その派遣に係る費用(給与、往復の旅費及び現地滞在費)の全額を負担します。
派遣した社員が行う技術指導は、当社が本邦において開発した製造技術を売手に提供するために行うものであり、派遣した社員は輸入貨物の製造作業には直接従事しません。
輸入貨物の課税価格を計算するにあたて、当社が負担する社員の派遣費用の額を、現実支払価格に加算する必要がありますか?
【回答要旨】
上記の取引において、貴社が負担する社員の派遣費用は、貴社が本邦において開発した製造技術の無償提供に要する費用であると認められますので、現実支払価格に加算する必要はありません。
(理 由)
「輸入貨物の生産のために必要とされた技術、設計、考案、工芸品及び意匠であって本邦以外において開発されたもの」が買手により無償で提供された場合は、その役務に要する費用の額を現実支払価格に加算することとされています。
上記の取引において、貴社(買手)が負担する社員の派遣費用は、輸入貨物の生産のために必要とされる製造技術を貴社が無償で提供するための費用であると認められますが、その製造技術は、貴社により本邦において開発されたものですので、「輸入貨物の生産のために必要とされた技術、設計、考案、工芸及び意匠であって本邦以外において開発されたもの」には該当しません。
なお、上記の派遣費用は、輸入貨物の製造には直接従事しない者に係る費用であり、その輸入貨物について売手のために支払われるもの(売手への間接支払)とみとめられませんので、その輸入貨物の現実支払価格の一部を構成するものでもありません。
【関係法令通達】
・関税定率法第4条第1項、第3号ニ
・関税定率法施行令第1条の5第3項
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木