(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4376)
前々号では、「Began Soy Meat」」や「大豆油」の話題を取上げました。農産物貿易において今日、「大豆」は重要農作物となっていますが、その貿易構造が近年、大きく変化しています。
『世界のダイズ(大豆)貿易の構造変化』
ダイズ(大豆)は、日本人の食生活にとっては欠かせないものだ。味噌(みそ)、醤油(しょうゆ)などの調味料はもとより、納豆(なっとう)、煮豆、枝豆、豆乳、おから、湯葉、きな粉など、様々な形で大豆を消化している。
しかし、世界的にみて日本を含む東アジア及び東南アジア以外では、食用として大豆はほとんど使われていなくて、ほぼ全量が大豆油を搾油するための油糧用である。また、搾油した粕である大豆ミール(おから)はタンパク質を含み、重要な家畜用飼料として消費されている。
農林水産省によれば、2013年度の日本の大豆の国内需要量は約301万トンで、国内大豆の生産量は約20万トンなので、自給率はわずか7%ということである。
(ただし、これは食用・油糧・加工用合計に対する比率であり、国産大豆はほぼ全量が食用に使われているので、食用の需要約94万トンにかぎれば自給率は21%になる。いずれにしても、大豆に関して、日本が大部分を輸入に依存していることに変わりない。
つまり、「味噌」や「醤油」といった、我国独自な食材と言えども、国内で売られている製品で国産大豆から作られた製品は”わずか1割弱=10%!”しかないことを意味する。
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日本が安定的に大豆を輸入するという意味で注目したいのは、21世紀に入って世界のダイズ貿易が大きく変化しているという事実である。過去40年間という少し長い期間をとってみると、アメリカ農務省(USDA)の統計によれば、直近の2014/115年度のダイズ輸出量をみると、ブラジル・アメリカ・アルゼンチンの順で、この上位3カ国で世界の全輸出量の88%を占めている。以下、パラグアイ、5位にカナダと南北アメリカ大陸の国が続いている。地域的に合計すると、北アメリカが43%、南アメリカが54%で南北アメリカ大陸での合計が97%と、ほとんど全てのダイズ(大豆)が同地域から輸出されている。小麦・トウモロコシ・米(コメ)など、他の主要穀物をみても、これほど輸出国の地域が偏っている農作物はない。
しかし、この状況は比較的近年になって生じたものである。40年前の1974/75年度には、南アメリカの国からの輸出はなく、アメリカが全体の95%を占めるという独占的な地位にあった。ところが、ブラジルとアルゼンチンからの輸出が徐々に増えていき、2003/04年度には両国の輸出量合計が2,716万トンに及び、2,413万トンのアメリカを初めて上回った。
(以下、継続~)
(文出所:清水純一 氏 農林水産省 農林水産政策研究所上席主任研究官)
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