『DRIED BONITO : KATSUOBUSHI(鰹節)ー①」
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4298)
『ミラノ博覧会で発覚!「かつお節事件」の衝撃』
我が国としてはミラノ国際博覧会の場を通じて、ユネスコ無形文化財遺産となった「和食」を大いに広めたい意気込みで臨んだ。
ところが、日本館でのレストランで使用する国産の水産・畜産物の食材の多くが、EUの食品安全規制に触れて持ち込めないことが発覚した。例えば、EU食品安全規制で毒魚とするフグや、細かな規制のある(牛肉以外の)国産肉類、乳製品、そして「カツオ節」だ。
カツオ節の製造・燻す(燻蒸)過程で発がん性の強いベンゾピレン等が発生し、規制値を超えるというのがその理由だ。また、高級カツオ節は乾燥・成熟の際にカビが付着するためにカビ毒の懸念も輸入禁止の理由と言われる。
カツオ節がなくては、”和食の基本であるダシ”を取ることができない。そこで農水省は、2014年5月から特例措置を創設するようにイタリア政府に働きかけていた。
『イタリアはEU食品規制のおひざ元』
そもそもイタリアには食品の安全や品質、偽原産国表示品などフードチェーン全般をチェックするEU食品安全局の本部がある。
そのイタリアで、日本の食料品の安全と高品質が認められるならば、EU市場全域への道が開けることも夢ではなくなるかも知れない。-そんな期待が多少はあったのかも知れない。
前年度から、我が国の食料産業局長がEU委員会保険総局を訪問し、動物由来食品の特例措置を協議するなど積極的に働いていた。その結果、「ミラノ国際博覧会へ持ち込む動物由来食品に関する動物衛生及び公衆衛生上の例外規制」が公表され、万博会場内での消費に限り、EUーHACCPの認定施設で製造されていなくても使用できることになったのであった。
これで、日本産のカツオ節を使った”和食”をミラノ万博で存分に振る舞うことができるはずだった。だが、とんでもないことが発覚した。7月11日夜にステッリーネ宮殿で開催される”ジャパンデェイ記念レセプション”で、日本から持ち込んだカツオ節が使えないというものだった。
特例措置が決められたはずなのに、なぜ使えなかったのか? その理由はきわめて単純なものだ。ステッリーネ宮殿は万博会場の外にある。そのため、保税施設として国内法の「特例措置」の対象にならないことだ。農水省はイタリアと交渉する際に、この問題にどうして気付かなかったのか。ジャパンデェイのレセプションをステッリーネ宮殿で行うことは早くから決まっていたことである。特例措置が適用される場所の範囲を「万博会場及びその関連施設」と付け加えれば済むことではなかったのか?
(記事参考:安積明子 氏・ジャーナリスト 週刊東洋経済)
(次号予定):
「レセプションでは、EU産のカツオ節を使用」~
「念願のEU輸出へ・EU-HACCP認定書取得、焼津港」~
「フランス・ブルタニューにカツオ節工場、枕崎港」~
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木