(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4179)
『関税法ー犯則事件』
「犯」という言葉を使っていますが、刑事罰のある「犯罪」に似ていながら、
税関に限られた範囲での処分権限がある点で、検察官が取り扱う犯罪事件とは違っています。
1)【関税法第119条】-質問、検査又は領置権
嫌疑者・参考人に出頭を求め、質問する。嫌疑者は一般用語では容疑者、刑事用語では被疑者。
参考人はどの法律域でも共通です。
所持品や放置品などの物件を検査し、任意出頭された物あるいは嫌疑者の放置品を領置する。
参考人の放置品は領置できません。
2)【関税法第120条】-開示の請求
証拠の隠ぺいをさせないための規定です。怪しければ、それをだしなさいと求めることができます。
3)【関税法第121条~第124条】-臨検、捜索又は差押
令状による捜索差押です。犯則事件に特有のものとして臨検があります。
嫌疑者発言・受信の郵便の差押は無条件で可能です。それ以外でも怪しい状況があれば差押が可能です。現行犯・準現行犯については無令状の臨検・捜索・差押可能です。
臨検等の措置の場合は、対象場所の所有者・管理者(会社の場合は代表者、責任者を含む)・成人の使用人(従業員)・同居の親族のいずれかを立ち会わせなければなりません。それらの者がいないときは成人の隣人、警察か自治体の職員を絶ち合わせてもかまいません。
・女性の身体を対象にしたときは、立会人も女性でなければなりません。(第129条)
・臨検等には警察官や海上保安官が同行することがあります。(第130条)
・臨検等を実施したら必ず「調書」が作成されます。供述者は署名押印するのが原則ですが、署名押印を拒否することもできます。 (第131条)
・領置や差押をしたら、目録を作って、所持者に渡さなければなりません。(第132条)
・税関での保管が困難な物件については、税関長の権限で別の場所で倉庫業者に保管させたり、売却してお金に換えることも可能です。(第133条)
4)【犯則事件の第1の特徴・検察官に告発しなけれならない事件】
必ず告発しなければならない事件は、不正輸出入での脱税・故意の虚偽申告があるケースです。
5)【犯則事件の第2の特徴・税関長が「通告処分」で事件を終結させることができる】
税関長の「通告処分」で済むための要件は;
・懲役刑を言い渡すほどには犯行が悪質でないこと。
・対象者が罰金を払える資産・収入を持っていること。
・対象者の居場所が明らかで、通告書を受領できること。
の3つです。
このうちどれか一つでもひっかかれば、
告発されてしまいます。(第138条)
また、
せっかく「通告処分」を受けたのに、20日以内に罰金相当額を納付しなければ、やはり告発されてしまいます。
6)【通告処分による不利益】
「通告処分」は処分ではなく、行政処分ですので、いわゆる「前科にはなりません。」
ただし、税関には処分歴が記録されますので、新たな通関業許可申請や、通関士の登録にあたっては、処分歴が蓄積され、罰金相当額納付後3年間は免許が下りないという不利益が課されます。
また、許可が取消される場合もあります。(必ず取り消されるわけではありません)
(記事:企業法務・法令・知的財産 2015/04/29 YANOUCHKATSURA)~
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