『CODEX(コーデックス) 食品の国際規格ー⑤』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4412)
7.コーデックス規格の問題点とそれにどう対処するのか? (~前号継続)
コンセンサスを得ることが極めて難しい場合、投票になることもあります。例えば、ナチュラルミネラルウォーターのコーデックス規格では、再度検討の意見が多かったので投票にかけられたのですが、33票対31票、棄権10票の偏差で採択されました。ほぼ半数の意見がありながら、再度検討の機会を奪われたのは問題だと、その後で大きな関心を呼びました。このように、投票が必ずしもいい方法というわけではありません。
このようなコーデックス規格策定の方式から考えると、自国の意見をきちんと会議の場で主張することがなによりも大切なことが分かります。書面による意見も大事ですが、最終的には会議の場で主張しなければ、大勢に影響を与えることができません。単に主張ばかりでなく、相手の意見を聞きながら臨機応変が必要なのも当然です。
そこで起こるのが言葉の問題です。通常コーデックスの会議は英語、フランス語、スペイン語の3ヵ国語で進行しますが、ワーキンググループは英語だけで行われることが多いのです。日本語が公用語となる可能性は今のところ低いので、少なくとも英語で論議できるだけの語学力と、それを裏付ける専門知識が必要です。
さらにコンセンサスを得るためには一か国だけが主張しても通りません。意見を同じくする国々と協議するか、あるいは自国の意見を他の国によく説明して賛同を得るという努力が欠かせません。当然にこれは日常の活動として必要と考えられます。
以上のような仕組みを理解した上で、それに対処しなければなりません。まず大事なのはコーデックス規格に対する考え方です。
この規格は世界の様々な事情を考えて”われわれ”が作るということです。できたものを与えられるのではなく、世界の一員である我々が多国と共同して作り、そのために我々も主張をし、必要とあれば修正もするのです。
コーデックスの会場は基本的に政府間交渉です。非政府組織(NGO)も認められれば発言の機会はありますが投票権はありません。経済問題も含め、これらの組織が一体となって、言葉の壁を超え、常に情報を収集し、確たる方針の下で会議に臨まなければなりません。そのために恒久的な専門組織を国内に設けることもまた必要でしょう。
(記事:公益社団法人・日本食品衛生協会)
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