『タックスヘイブン(TAX HAVEN)に迫るー税逃れと闇のビジネス』
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『タックスヘイブン(TAX HAVEN)に迫るー税逃れと闇のビジネス』
(合田 寛ー著、現代経済研究室長 新日本出版社 2014/09/25)
年間売上=17兆円、毎年3兆円もの利益を上げている「アップル社」が、全く納税していないというニュースほど私たちを驚かせたものはない。
フルタイムの正規雇用だけでも8万人を超える従業員を抱える世界のトップクラスの巨大企業が、各国の税法や租税条約の網の目をかいくぐって、世界のどこからも課税されていなかったというのである。
アップル社だけではない。ほとんどの大企業は、タックスヘイブンの何百もの子会社を設立し、そこに利益を移転し、巨額の課税を免れている。課税逃れの仕組みは、タックスプランニングとして、巨大企業と結びついた会計事務所や法律事務所によって提供されている。最近の米英の議会の調査によって、ようやくその仕掛けの一端が明らかになった。
「タックスヘイブン(TAX HAVEN)」という言葉から想像されるのは、ヤシの木の茂った海浜のリゾートの風景であろうが、それは巨大多国籍企業が税を逃れる全体の構造の一部でしかない。ヤシの木の背後にあるものは何か。そこに一歩足を踏み込めば、多国籍企業や巨大銀行によって形成された、グローバルなネットワークの存在が浮かび上がる。
そこにあるのは民主主義諸国家の議会で作られた法律、課税、規制のルールがないがしろにされ、その効果を無にする、”シャドービジネス”の闇の世界である。そこに多国籍企業やメガバンク、富裕者達が我が物顔にふるまい、犯罪者や腐敗した公務員がうごめく。その世界を監視し、不正を取り締まろうとする者は誰もいない。
グローバル化した現代の資本主義において、企業やマネーは国境を越えて自由に移動するが、国家の規制は国境の外には及ばない。国際機関や多国籍間の協力による監視や規制も、グローバルなビジネスの急速な展開に追いついてはいない。
税の分野が最も典型的な事例である。アップル社の事例にみられるように、国際的な課税のシステムは完全に破綻している。にもかかわらず、機能を失った税のシステムが温存され、それに代わるべき21世紀の新しい税のシステムはいまだ見えてこない・・・。
(文:合田 寛 ー現代経済研究所 室長 新日本出版社 2014/09/25)
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