(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4345)
『東芝解体 電気メーカーが消える日』 大西康之 著 (講談社)
[日本の電気メーカーは、「半導体」が本業ではなかった]
なぜ日本の家電メーカーは、半導体・家電・携帯電話で世界トップから転がり落ちたのか?
一言で言えば、それらの事業が各社にとって”絶対に負けられない本業”ではなかったからだ。
インテルやTSMCなどの半導体大手は、この分野で負ければ倒産必死の半導体事業企業。偏執狂的な集中力で製品を開発し、投資し、競合相手を徹底的に叩き潰すことが生き残る唯一の道なのだ。一方、日本の総合電気メーカーに「偏執狂]はいなかった。半導体はいくつもある事業の一つに過ぎず、「失敗しても会社が潰れることはない]という甘い考えの中で経営が行われていた。言わば半導体は「副業」だったのだ。日本の電気メーカーには、副業で負けても食べていける「本業」があった。この「本業」を説明するために、大企業NTT(日本電信電話公社)が登場する。
1985年の通信自由化まで、日本の通信市場は日本電信電話公社(NTT)による独占状態だった。何兆円もの電話料金がNTTに集まる。そこから設備投資として、NTTを家長とした「NTTファミリー」であるNEC,富士通、日立製作所、東芝、沖電気工業に流れた。1990年代半ばにはその額は4兆円を超えた、NTTは絶対的な存在として通信機器メーカーの上に君臨したのだ。
[NTTドコモへの忠誠心が、”ガラパゴス化”という結果を招く]
NTTによる独占状態にあれば、当然「下請け」に当たる電電ファミリーは「NTTの言う通り」に通信機器を開発する癖がつく。イノベーションに臨むより、NTTのご機嫌を取っていた方が安泰だ。その本質が日本の中だけで特異な技術進化を遂げてしまい。世界に通用しないガラパゴス化を起こしてしまう。
NTTには可愛がられたが、それと引き換えに自分の頭で考え、決断する能力を失った。そのツケは携帯電話の敗北となって表れる。
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[電気メーカーより深刻な”病巣”-「日本電力ファミリー」]
(記事出所:いのうえゆきひろ 氏ー読みたい本がここにある 2017/06/19)
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